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 うめき吹き飛んだロハザーが床をすべり、スペースのかべに激突する。

 俺は危なげなく着地し・・・・・・・・



石の蠍スコルピカ



 致命ちめいてきな一撃を「ナメんなっつってんだ――――ッッ!!」じhgy5r6ty8うい0おjg!!!?



 ――前のめりに倒れると共に、雷撃らいげきが体を突き抜ける。



「っぐ……!!そうか、壁を足場に瞬転ラピドで体当たりを……!」



 倒れながら背後を振り返ると、――受け身を取り損ねたのか、飛んできた方角とは逆の壁に激突しうめきをあげるロハザーの姿があった。



「ぐぁ……そうそうテメーの思い通りにはならねぇぞ、バカがッ……ッた……!」

「……確かに思い通りではなさそうだな」

「俺じゃねェよオメーのことだよ!!! 馬鹿にしてんのかンの野郎!!」



 静かに拳の凍結とうけつを解く。



 短い時間だったが、手の感覚が無い。

 技とも呼べない小手先こてさきだ、改善の余地ありだな。

 そのかんも、ロハザーから目は離さない。奴はよくわからない理由でえらくいきり立っている。前にもこんなことがあった気がした。



 それにしても……あれだけ頭に血を上げているようでいて、ロハザーはビージのように、一切われを失う様子がない。常に攻勢こうせいくずさず、すきあらば仕掛けてくる。

 そのくせ守りにもある程度ていど配慮はいりょが出来ている。先の氷の拳も、防げないなりに上体じょうたいを後ろにらしてダメージを軽減けいげんしていた。



 ――まるで、ヴィエルナと闘っているかのような感覚。



 当然だ。ロハザー・ハイエイトはグレーローブの実力者なのだから。

 片時かたときも忘れていなかったはずの事実を再認識する。



 立ち上がる。

 奴も立ち上がった。



『――――――ッッ!!』



 戦闘を、再開する。



「うおォォ「砂弾の砲手サンドバレット!!」オォォッッ!!」



 砂塵さじんが舞う。

 雷光らいこうはしる。



 精霊の壁フェクテス・クード。 撃つ。

 先行放電ストリーマ。     弾く。

 砂弾の砲手サンドバレット。  防ぐ。

 凍の舞踏ペクエシス。     駆ける。

 雷弾の砲手サンダーバレット。 跳ぶ。

 堅き守人シュタインヴァント。 放つ。

 雷宴の台タウロクス。     打つ。

 瞬転ラピド。         貫く。

 石の蠍スコルピカ。      殴る。

 氷弾の砲手アイスバレット。  しびれる。



 戦う。

 ただ、戦いだけに意識を没入させていく――――――



「ガハ……ァ、ハァ、ハァ……!!」

「はぁ――――はっ、はっ、はっ――――!」



 ――――体感では、残り時間は十分程度。

 だが、この勢いのまま戦い続ければ、十分ももたないだろう。



 拮抗きっこうでない、膠着こうちゃく

 戦況がかたむかない。主導権が奪えない。

 現状の手札では、どれだけさくろうしても奴の実力の前にけられる。



 そしてそんな互角ごかくは、俺をひたすらに不利へとかたむけていく。



「――どうしたよ。随分ずいぶん息が上がってんじゃねぇか異端いたんッ」

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