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「はは。『あなた』って、そこまで
「い、いえ。あの……お久しぶりです、
「うん。
「今日は……どうして?」
「それもおかしな質問でしょ。僕もこのプレジアの学生なんだから……でも、そうだね。考えてみれば、ちょっと
「……もしかして、試験に参加を?」
「ふふ、ホントは間に合わせたかったんだけど……残念ながら、今回も未参加だよ。家の仕事の方がひと段落したから、遅れてでも顔見せしておこうと思った――ん、だけど」
ホワイトローブの茶髪がチラ、と、運ばれていくマリスタを目で示す。
「びっくりしたよ。アルテアスさんが
「……そう思います」
「うん。これはアルクスへの
「…………」
「でもさ。燃えるよね、ああいうのは」
「え」
「戦いを
「……そうですか」
「そうじゃないって顔だね」
「! そ――そんなことは」
「大丈夫だよ。僕はティアルバー君みたいに厳しくはしないから。それとも、君にはこう言った方が通じるかな。『素直に言ってくれた方が、僕は好き』」
「……」
少年は一度口をつぐみ――やがて、ゆっくり開いた。
「……評価されない戦いですよ。
「君は、『戦い』と『闘い』が、どう違うのか
「え」
「実力が
「……そうですね」
「ほら、また隠した。そうは思えないんでしょ、ハッキリ言っていいんだって」
「い――いえ、別にそんな」
「もー、だからそう
「!」
ホワイトローブが目を細めた。
「……それに今回の試験、参加者もだいぶ少なく見えるよ」
「…………」
「学校に入ったときから、何か
茶髪の目が、少年を
少年は、しばらく何も言えなかった。
〝どんな世界で生きていたらそう
「……いや。僕は何も知りません」
「そうは見えないけど。今言い
「僕の言葉はっ」
「…………僕の言葉には、
「またおかしなことを言う。そんなの当たり前じゃないか」
「え――」
「人の言葉に偏見があるなんて当たり前さ。大切なのは、『自分の言葉には偏見がある』って、ちゃんと自覚していることだよ。
「!!――――」
面食らう少年の前で、ホワイトローブが
「……知ってることだけで構わないよ。プレジアで何があって、今どういう状況なのか。教えて欲しい」
「……実のところは、僕もよく知らないんです。この二ヶ月ほど、学校に行っていなかったので」
「……もしかして、それも今の状況に関係があるのかい?」
「…………」
(偏見を、自覚して――)
「……二カ月前。うちのクラスに、一人の転校生が来たんです」
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