第6話 ソフィーの告白
放課後ソフィーは居残る僕を待っていてくれた。女子がいるにもかかわらず、リカ先生はコンドームの実地訓練しようとしてきたが、それはなんとかかわした。
ソフィーはそれを特に恥ずかしがることもなく、椅子にチョコンと座って黙ってたたずんでいてくれた。
「ソフィー待たせたな、ありがとう」
「ね、カフェに寄らない?」
下校途中のカフェに寄るとソフィーは切り出した。
「あの、わたしってヤリマンに見える?」
えっなんと。
「クラスの男子がヤリマンならやらせろってうるさくて」
あーソフィーは誰でも優しいからなぁ、それで。
「ヒロくん以外とは実はもうみんなセックスっていうのかな、しているの……。みんな喜んでくれるし、私もそれが嬉しいし、そのヤリマンってどういう意味なのか教えて欲しくて。」
「……」
あまりのことに絶句するおれ、でもこれで、みんなが教会に来ないわけがわかった気がする。まわりくどいことをしてたのは僕だけだったのか。
「ヒロくん、ヤリマンって辞書調べたらね、男関係にダラシナイ、侮辱語とか出るの。わたし悪いことしたのかな?みんな喜んでくれたし、私も嬉しいし。なにが悪いのかよくわからなくて、私。でもみんなが私を軽蔑しているのはわかったよ。悲しいの。」
「ごめんね、ヒロくんも軽蔑するよね、だから性行為って言葉しらないことにしたの」
「……僕とやらなかったのはなぜ?」となんとかそれだけ言葉を振り絞った。
「ヒロくんは教会に来るとき楽しそうだったし、やりたいって言わなかったし。それでいいのかなって」ソフィーはサラッと言った。
「……やりたいよ、やりたいけど、手順ってものがあるだろっ」
「ヒロくんもやりたいならやる?」
「いいよっ、僕は。ソフィーがしたいならするけど」
「私はヒロくんが喜んでくれるならするよ?」
そうか、ずっと感じてた違和感はこれだったんだ、悔しさに涙がこぼれそうだ。
あまりのことに、僕はその場から逃げ出してしまった。気づいたら席を立って、駆け出していた。村の外に出て、それは許されないことだけど、もうこの村には居たくなかった。
村を出て街道を歩く、学生には本来保護者なしでは許されない行為。
とその時、後ろから
「ドーンッ」
爆発音がした。
後ろを振り返るとそこには、横たわっている少女。おい、嘘だろ。嘘であってくれ。
恐る恐る近寄ると、そこには少女が倒れていた。ソフィーだ。
「ソフィーっ、村をなんで出たんだ?危ないだろっ。なんでだ〜。」
少女を抱きかかえて
「大丈夫、まだ、助かるよ。ソフィー。」
と励ます。
「ヒロくん、ごめんね。ヤリマンでごめんね……。」
「いいよ、ヤリマンでもいいから。ソフィー助かるから、そんなこと言うな」
少女の体からどんどん生気が失われていくのを感じる。
とその時
「ドカーン」
と衝撃音
「おーい、大丈夫か?」
助かった、村のパトロールだ。
「止血、止血と。これでお嬢ちゃんは大丈夫だよ。」
その後、救急車で彼女は病院に運ばれていった。
僕は一時の激情で危険な村の外に出たことを悔いた。でも、ソフィーが助かる。それは一連の衝撃のなかで唯一の希望だった。
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