進路の話①
10月20日。土曜は毎週受験講座があるのですが、この日も体調が悪く出席出来ませんでした。
前の週に休んだので、今度こそはと頑張らせてみたのですが、なかなか難しいものです。勉強の機会を少しでも確保するためにと、町の方でほぼ無料で行っている講座なので、かなり貴重な時間なのですが、本人が動くことも出来ないのを連れていくことは出来ません。泣く泣くお休みしました。
夫は土曜出勤で不在、土日であるからと私も暇なわけではなく、アレをやったりこれをやったりしているうちに、あっという間に時間が過ぎていきます。
土日は子どもたちも殆ど家にいるので、何をしようにも思い通りにはいきません。特に頭を悩ませていたのは、小学一年生の三女のことでした。宿題もせず、洗濯物も出さず、お便りも出さないので、ひとつずつ注意する必要があるのです。好きなものには集中しますが、嫌いなものには全く食いつかないので、如何に興味を引くか、好きにさせるか考えるだけで頭が痛くなります。小学校の担任の先生にも「やる気スイッチどこですか」と言われるくらいなのです。
何を聞いても「終わったよ」「やらなくていいの」の連続で、いざ日曜の夜に最終チェックをと見てみると、宿題は真っ白、大切なお便りがランドセルの中に、靴下や脱いだもの、遊んだものがあっちこっちに散らばりっぱなしという状態で、小1のくせに寝るのが23時近くになってしまうのでした。
そんな風に私がバタバタしていても、子どもたちはマイペースなものです。
高校生の長女が、スイートポテトを作ると言い出します。農家をしている私の実家から、取れたてのサツマイモをいただいたからです。そのままふかし芋や焼き芋にしてもいいのですが、スイートポテトは確かに美味しいですよね。それは良いんですが、作る時間が問題で……。
夜、家事が終わり、皆が寝る頃になってから芋を茹で始めました。
そして、何と午前2時まで! 次女と一緒に作っていたのです。
翌日美味しくいただきましたが、全く、年頃の女子は何をしだすか分かりません。
さて、そうやって土日もあっという間に終わりました。
夕食を早めに作り、いつでも食べられるように準備してから、夫と次女に声をかけました。
「大事な話しなくちゃいけないんじゃないの?」
進路の紙です。
三者面談までに提出しなければならない紙を食卓に置いて、三人で話し合いを設けました。
元々夫は、子どもの進路は親が決めるものじゃないとあまり積極的に進路の話をするような人間ではないので、長女の時なんかは、自分で書いてから見せなさいという感じでした。
しかし、次女の場合はそもそも選択肢も殆どない上に、学校にあまり行かなかったせいで、進路への関心が極端に薄いという問題がありました。第一志望は近所にいある公立高校と考えていたようですが、滑り止めとして殆どの生徒が受ける私立高校の受験については何も考えて居らず、このままではいけないと私は危機感を持っていたのです。
「次女は私立受けなくて良いって言うんだよ。それじゃだめだって話してやって」
夫にも促して、話を進めました。
まず、私立を受けないということは、公立が落ちたら高校生にはなれない、ならないということでいいのか。もし万が一、高校生に上がる頃になって体調が回復してしまった場合、直ぐに高校生活を送ることが出来なくなってしまうということ。勿論、金銭面からも公立高校が良いに決まっているけれど、もし万が一、私立に行くことになったとしても、悔いのない選択であればそういう道もあるのだということ。
「でもさ、私立は遠くて通えないじゃん。歩いて行ける高校に入りたい」
体力面が、次女の中で一番の心配事です。
今でさえ、私が午前中にご飯を出してやったり、着替えを持ってきてやったり、車で送ってやったりして登校しているのを、全部自分でしなければならなくなった場合、通学距離が短いに越したことはないわけです。
受験出来る高校はどの地域に住んでいるかで変わってきます。公立高校は11校、高専1校、私立が3校、通信制高校1校の中から選びます。
自宅から一番近い学校は、総合学科のある高校。次女が好きなデザイン系や料理系の勉強をすることが出来、就職に力を入れている県立高校です。しかし、次女の成績では入れるのか、かなり怪しいのは最初から分かっていたことです。一学期の成績では、とても受験には堪えられないと先生に言われていたのです。どうにか2学期で持ち直したいところでしたが、10月半ばの時点で、殆ど授業には出ていませんでした。
私立のうち1校は長女の通う高校と同じ方角にある高校、他2校は反対方向にあります。特色もそれぞれ違います。今まで私立の受験など考えていなかった次女にとっては、急すぎる話だったかも知れませんでした。
「もし公立落ちたらどうするの? その次の年に受ける? そのときにはもう、中学校のサポートはないんだよ?」
次女は悩んだ挙げ句、私立高校という選択肢について少し考えてみることに承諾しました。
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