ガッティーナちゃんに会いに
小さい袋に薬を入れて準備をして、エプロン姿のまま車に乗り込みました。
三女と次男、それに長男まで、一緒に乗りました。
夫と次女は、隣の市にある菓子店に寄り、ガッティーナちゃんちへのお土産を買う予定でいましたので、追いつくならそこしかないと時計を見ながら走りました。
車の中でも、長男はずっと「次女がいないと死ぬ」とそればかり。一方三女と次男は、単にドライブに付き合ってるくらいのテンションでした。
LINEでやりとりしながら追いかけ菓子店に着くと、夫と次女は既に買い物を終えて駐車場で待機していました。
隣に駐車し、薬を渡して、
「もう忘れ物ないよね」
確認して帰ろうとしたのですが、下の子たちが車の中から大声を上げて次女の名前を呼びまくって凄まじいことに。
「気をつけてね。もう忘れ物しても追いつけないよ」
今度こそ、次女は群馬へと旅立っていきました。
普段は次女と一緒の空間に長くいるうさぎのチロルも元気がありませんでした。
長男は悲しみのあまり、次女の布団でゴロゴロとしていました。
「次女いないと最高につまんない」
兄弟が多い分、外で遊ばなくても間に合うからか、うちの子は本当に出不精が多くて、休みの日でも大抵一緒にいます。一人部屋も少し前に長女に与えたばかりで、区切ってはいるものの、一人で過ごすことが少ないからか、兄弟が誰か一人でもいないと寂しいようです。
「本来ならばね、2月に修学旅行で二泊三日、東京にいてたはずなんだよ。修学旅行だったら、『行ってきます』してしまえば、迎えに行くまで連絡も取れないじゃん。今はパパと二人で行ったんだから、LINEでやりとり出来るんだし、何も寂しくないでしょ」
言い聞かせましたが、長男は魂が抜けたようで、全然うんとは言いませんでした。
その日、21時頃には新潟に入り、車中泊したようです。
翌日は朝早く次女も目覚め、新潟県内から群馬方面に向けて車を走らせていました。
8時頃に新潟をやっと抜けて群馬県へ。
10時半過ぎにガッティーナちゃんに次女を引き渡して、夫は群馬県内を観光したようでした。
18時頃までゆっくりとガッティーナちゃんと過ごし、夫と合流、夕食を食べて、また車で寝泊まりしながら9日火曜日の昼過ぎに自宅に帰ってきました。
お土産も沢山買ってきました。
沢山、思い出も作ってきたようでした。
ガッティーナちゃんの家にお邪魔して遊んだこと、電車に乗って高崎のアニメイトまで行ったこと、そこで薄い本を人生で初めて買ったり、アニメグッズを物色したりしたこと。ガッティーナちゃんと美味しいものを食べたこと、ガッティーナちゃんのお姉さんが絵が上手すぎて感動したこと……。
2月は体調が悪すぎて、中学校の修学旅行には行けませんでしたが、その分を取り返すように、沢山楽しんできたようでした。
小学校から戻ってくると、長男は次女の名前を呼び、喜びを身体で表していました。
他の子たちも、帰ってくる度に、おかえりおかえりと嬉しそうに言っていました。
体調が悪く、獣医さんに整腸剤を処方されていたうさぎのチロルも、次女が帰ってくると嘘のように体調が治り、大きなうんちをたくさんしてくれるようになりました。
初めて関東まで運転したことで、夫もすっかりくたびれてそのまま寝てしまいましたし、次女もヘトヘトだったようです。
そして案の定、ここから数日、次女の体力は回復しませんでした。
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