最悪の年末
1年で一番忙しい季節でした。
12月も後半戦。土日も順番に出勤することになった我が職場。売り子の合間を縫って架電し、必死に数字を繋ぎます。
23日土曜日は祝日だというのに、朝から幼稚園の交通安全教室があったり、私が終日仕事だったり、車の点検予定が入っていたりと、大忙しです。
日曜日の24日には次男が嘔吐、ウイルス性胃腸炎。クリスマスイブのケーキをお預けするという可哀想な結果に。
25日は次男、そのまま病児保育へ。次女も具合が悪く、学校は休み。
27日水曜日には、猛吹雪で足を取られた夫が、車を縁石に乗り上げて警察を呼ぶ始末に。小学校、中学校、高校と冬休みに突入したこの日、今度は長女も次女も腹痛を訴え始めました。
28日には三女と長男が具合悪くなり、夫が午前中休みを取って小児科へ。診察終えて夫が雪道を一時間以上かけて職場へ向かった途端、今度は長男が嘔吐するという負の連鎖が起きていました。年末進行で身動き取れない私の代わりに、夫がまた一時間以上かけてとんぼ返りして、面倒を看ていたようです。
こんな悲惨な状況なのに、追い打ちかけるように、12月は28日で幼稚園も保育園も学童も全部仕事納め。大丈夫かなぁと不安になっていたら、29日金曜日、一連のウイルス性胃腸炎に完全に飲み込まれ、夫が職場に着いて間もなくダウン、帰宅したあとは死んだように横になっていたようでした。
限界です。
そして、限界と同時に、平成29年の仕事が全部終わりました。
本当に、酷い年でした。
1月の始業式、次女が具合悪くなって学校に行ったのをそのまま回収して以来、碌なことがありません。
毎年毎年、誰かが大きな病気や怪我をするのはよくあることとして、これほどまでに色々重なって、心身共に限界なのに、畳みかけるように様々積み重なるのは異常だと思いました。
もっと余裕があったのなら、年末には毎年恒例の、お年玉争奪・耐久年越しゲーム対戦を家族で行っていたはずなんですが、具合悪すぎて宿題は終わってない、大掃除も終わってない、全然余裕無く、かなり端折って終わりました。
数種類のボードゲーム、テレビゲームの勝敗を表にして、勝ち点を付け、上位から順にお年玉を上乗せしていくという画期的な企画だったんです。毎年恒例行事で。大人はお年玉を出したくないんで本気になるし、子どもは初売りのために本気になるしで、とても楽しくて、これを生きがいに毎年年末頑張ってたのに。
本当に、虚しかったです。
さて、ここでひとつ触れておきます。
年内に、中学校から次女に一枚のお便りが渡されました。
修学旅行に行きますか、という内容のお便りです。
「行くよ」
この頃、次女はまだ前向きでした。
修学旅行は2月の後半です。まだ、2ヶ月以上あります。体調は芳しくありませんでしたが、どうにか出来るのではないかと思えるほど時間がありました。
「ね、もしさ。修学旅行に行けたら、自由時間にガッティーナと会うのって、アリだと思う?」
11月に会えたのがとても嬉しかったらしく、出来るならまたすぐにでも会いたいと思ったのでしょう。
「でも、修学旅行は自由行動と言っても誰かと一緒だよね。あんたのためだけに時間を割いて欲しいってお願いするのは難しいんじゃないかな」
「じゃ、ホテルは? ホテルで会えるようにするとか」
「う~ん。ホテルかぁ。時間帯にもよるだろうけど、案外時間がない気もするし。ガッティーナちゃんに来てってお願いするのもどうかと思うよ」
「群馬からだと東京は近いって言うし、きっとガッティーナなら来てくれると思う」
何を想像していたのか、本当に楽しそうでした。
ガッティーナちゃんと会えるかどうかは別にして、こんなに楽しみにしているなら、どうにかして修学旅行へ連れて行ってあげたいと本気で思いました。
夫とも、当日について話し合っていました。
私の休み日数は限界でしたから、当日なんとか出来るとしたら、夫しかいません。
「当日、休みを取って、駅まで連れて行くか。電車に間に合わなかったら、どうにかして新潟まで車で連れて行く手もある。なんなら、東京まで連れて行って、合流したら僕だけ帰ることも考えないと」
次女にとって、朝という時間帯がネックです。夕方には具合が良くなるわけですから、そこまで連れて行ってしまえばどうにかなるのではという考えが、どこかにありました。
「どの時間までなら当日中に入れるか、ちょっと調べてみる。その日は休みを取るつもりで……」
反対のしようもありません。
一向に午前中に起床出来ない次女に対して、焦りが募っていました。
年が明けたら、具合が良くなるかも知れない。
修学旅行が近づいたら、本人もやる気が出て、少しずつ動けるようになるかも知れない。
実家の祖父母も、
「修学旅行には行かせてやるもんだ」
と心配しました。
「他はさておき、修学旅行だけ入った方が良い。修学旅行でなければ行けないところ、経験出来ないことがあるんだから」
本当に、本当にそう思いました。
こうして、平成29年は終わってゆきました。
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