シスターズ、去る
181-①
「な、何や!?」
「一体どうしたってんだ!!」
武光達は戸惑った。今まさに自分達に襲いかかろうとしていたシスターズが
「何か知らんけど今のうちや!! ナジミ、コイツらの治療を急いでくれ!!」
「ハイッ、武光様!!」
その後、ナジミの癒しの力によって、元の姿に戻ったシスターズの三人は意識を取り戻した。
「う……私達は……助かったのですか……?」
「戻ってる……私達、元の姿に戻ってるよ♪」
03は02に抱き付いて、全身で喜びを表した。生還を喜び合う二人を見て、01は武光に問うた。
「……どうしてアタシ達を助けたんだよ……!!」
それに対して、武光は腕を組んで答えた。
「さぁ……何でやろな?」
まさかの返答に、馬鹿にされていると思った01は武光に食ってかかった。
「はぁ!? 何だよそれ……意味分かんねぇし!!」
「意味とか理由とかそんなんとちゃうねん、シンプルに……放っとかれへんかっただけや」
「私達は……敵同士なんだぞ!!」
「それでも放っとかれへんかったんや、しゃーないやろが!!」
「そんなの……納得出来ねぇ!!」
「おまっ……面倒臭い奴やなぁ、理由なんかどうでもええやろが、あんまりゴチャゴチャ言うんやったら、お前ら三人共叩っ斬るぞ!?」
「うぅ……」
「せっかく助かったんや、俺の気が変わる前にとっとと立ち去れアホ!!」
01は困惑すると同時に確信もした。コイツは……あの時私を見逃した実験体14号の元になった男だと。
「…………感謝なんて絶対しねぇからな!!」
「やかましわ、早よ行かんかい!!」
「ケッ!!」
01は武光達に背を向けると、02と03に歩み寄った。
「……行こう、02、03──」
だが、次の瞬間、01は左右の腕を剣状に変化させ……02と03の腹部を貫いた。
「ぜ……01……!?」
「そんな……どうして……♪」
「当然でしょう? ほんの一部とは言え、この私の人格と記憶を複製されておきながら、あの
01が両腕を引き抜くと、
あまりの出来事に武光達は言葉を失った。
「お前……シルエッタか」
ようやく絞り出した武光の言葉に対し、01は薄ら笑いを浮かべた。どうやら01はシルエッタに操られているらしい。
「フフ……残念でしたね? せっかく救った02と03を破壊され、01も自らの手で斬らねばならないなんて。それとも……貴方の言う『優しさ』とやらを貫いて、01に斬られてくれますか? そうすれば01の廃棄はやめて差し上げましょう」
「このっ……ゲスが……!!」
「さぁ……神に祈りなさい!!」
「くっ!?」
そう言って01は
「なっ……01が制御出来ない!?」
「ごめんな、姉さん……また、言いつけを守れなかったよ」
01は……右の剣腕を自分の腹部に突き立てた。
「……うう」
武光達は、ガクリと両膝を床に着いた01に駆け寄った。
「お前……何でやねん」
「フン……ただ……の……自己満足だバカヤロー……!!」
「しっかりしてください!! 今、私の癒しの力で──」
「もう遅いって……」
01は元の形状に戻した左手で武光の額を小突くと、ダラリと仰向けに転がった。
「…………ぐあぁぁぁっ!?」
痛みなど皆無だった……だが、武光はまるで地獄の業火にでも焼かれているかのような苦悶の声を上げて、床を激しく転げ回った。それを見た01が満足げに微笑む。
「へへ……やったぜ姉さん、姉さんにケツをぶつけたクズヤローに……一発ブチかましてやった……私、役に立てたかな?」
意識が
「安心しなさい01、貴女は私の……最高傑作です」
「ハハ……芝居ヘタクソかよ」
「……すみません」
「……もっと早く……もっと早く貴女達と出会えていれば……私もこうはならなかったのかもしれませんね」
「01……さん……?」
安らかな微笑みを残し、シスターズ01は 消滅した。
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