隊員達、捜索する


 164-①


 城内に突入したフリード達は暴れ回っていた。


 城内に突入する前に、アルジェから作戦目的は聞かされている。目的は二つ、ヴアン大公が暗黒教団と関わっているという動かぬ証拠を掴む事、そして……城内に囚われているであろう『光の勇者』リヴァル=シューエンの捜索だ。


「オラァッ!!」


 長く、幅の広い廊下を走りながら、目に付く扉を片っ端から蹴り開け、城内を探索してゆく。


「チッ、ここも外れか!! クレナ、次行くぞ、次!!」

「うんっ……って、あれ? 何してるのアリー?」


 先程から毎回部屋を出る度に、剣盾ソードシールドで扉に傷を付けているアルジェにクレナが話しかける。


「ん、ああ……これは、『この部屋は一度調べてます』って印ですだ。後続のロイ将軍達が二度手間で探さなくてもええように……」

「凄い!! 頭いいね、アリー!!」

「い、いやぁ……そんなおそれ多い」

「クレナ、アルジェ!! 何してんだよ!? 早く次の部屋に行くぞ!!」

「うんっ!!」

「おう!! ん? アレは……」


 次の部屋に向かおうとするフリード達の前に、女の子が現れた。銀色の髪を短く切り揃えた12歳くらいの女の子である。


 あの髪の色……暗黒教団は、あんな小さな子供にまで影魔獣を作らせているのか……と、自分と同じ髪の色の女の子を見て、フリードは拳を強く握った。


 湧き上がる怒りを抑えながら、フリードは少女に優しく話しかけた。


「そこの君、危ないから部屋に入って──」

「あーあ……ホント面倒臭い……死ねば良いのに♪」

「えっ!?」


 少女から放たれた言葉にフリード達は固まった。


「知ってるよ。貴方達、天照武刃団とかいう、シルエッタ姉様の邪魔をしてるクズ共でしょ♪ 02の事、随分可愛いがってくれたみたいだね♪」

「シルエッタ姉様……!? それじゃあお前も!!」

「そ、私はシスターズ03、名前は絶賛募集中なの♪」


 そう言って、シスターズ03はニコリと笑った。


「ごめんなさいね、本来なら私が直接殺してあげたいんだけど……私は今、脱走した勇者様の追跡で忙しいから、ゴミに構っているひまは無いの♪」

「なっ!?」

「だから……私の代わりにこの子と遊んでてちょうだい♪」


 03が指をパチンと鳴らすと、廊下の壁を突き破って、青く透き通った体を持つ怪物が現れた。

 怪物は、ひたいに一角獣のような鋭い角を持つ双頭の鮫の姿をしており。双頭の鮫はまるで水中を泳ぐかのように、悠然と空中を泳いでいる。


 03はフリード達を指差すと、笑いながら怪物に命じた。


「殺っちゃえ♪ 《青影聖獣せいえいせいじゅう・カイコウオウ》!!」



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