魔王剣、挑発する
152-①
差し出された魔王シンの
「これが……
影魔獣の心臓部である
そして、そんな影光に対し、マナが声をかけた。
「影光さん、貴方にお伝えしておくべき事があります。私は、今の私に出来る最大限の感謝と親愛のしるしとして、父が愛用していた剣を貴方に贈らせて頂きます。ですが……その剣を決して
マナの意味深な言葉に影光は首を傾げた。
「はぁ……!?
〔それは……
「うおっ!? 喋ったっ!?」
影光の疑問に対し、ネキリ・ナ・デギリが声を発した。威厳を感じさせる重厚な男性の声だ。
〔我には、《
「審判の……
〔ククク……左様、その名の通り……我を手にした者が、我を振るうに相応しいかどうかを選別する為の
「それは一体……?」
〔我を鞘から抜こうとした瞬間、我に封じ込められた強大な力が、我を持つ者に流れ込む。その力に耐え、我を鞘から抜く事が出来れば、その者は強大な力を手に入れる事が出来る。だが、流れ込む力に耐える事が出来ぬ弱き者は……体の内側から木っ端微塵だ〕
「なっ……!?」
〔近頃魔王を名乗っていたあの
そう言って、ネキリ・ナ・デギリは小さく含み笑いをした。
〔……で、貴様はどうする? よもや、貴様も審判から逃げるなどと、つまらぬ事は言うまいな?〕
「お、俺は……」
〔今まで我を鞘から抜く事が出来たのはたった一人……我が
「……っ!!」
「いけません影光さん!! 挑発に乗っては!!」
「マナちゃんの言う通りやって、危ないって影光っちゃん!!」
「よせ影光、馬鹿な真似をするな!!」
「グォォゴ……ヤメロ……カゲミツ……!!」
「そうです!! そんな危険な賭けをわざわざする意味などありません!!」
「やめときなさい、魔王の剣なんて。私ならともかく、アンタみたいなバカには手に負えないわよ!!」
「危ないよ、団長!!」
「「「おやめください、影光氏!!」」」
マナに続いて、オサナや天驚魔刃団の面々、それに各種族の将兵たちも『そうだそうだ!!』『鞘から抜くな!!』と影光を止めようとした……普段の影光であれば素直に周りの忠告を聞いただろう。しかし、
「どいつもこいつもナメやがって……俺には無理だってのか……!! ふざけんなバカヤローコノヤロー!! やってやるって!!」
逆上し、完全に頭に血が上っていた影光は越○詩郎みたいな事を言い出した。
〔ククク……良いぞ、お前の力を奴らに見せつけてやるがいい!! 言っておくが、一度抜き始めてしまったら最後、我を完全に鞘から抜き放つか……貴様が死ぬまで手を離す事は出来ぬ〕
「上等だコノヤロー!! 天下を奪る男の力を……ナメんじゃねぇ!!」
影光は制止を振り切り、左手で鞘を掴み、右手で
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