魔王(笑)、跳ね起きる
146-①
その日、キョウユウは響き渡る歌声で目を覚ました。
……歌が聞こえる。
『祝え、新たな魔王の誕生を
その雄大なる威風を前に
千の将が平伏し、万の兵が付き従う
至高の存在たる素晴らしき我が魔王
天へと昇れ、魔王キョウユウ
全てを覆せ!!』
……と。
キョウユウは寝台から跳ね起きると窓から外を見た。すると、城の周囲には様々な種族の軍勢が集まり、トポンツ砦の連中が作った魔王を讃える歌を歌っているではないか。
歌は止まない。
『祝え、新たな魔王の誕生を
その雄大なる威風を前に
千の将が平伏し、万の兵が付き従う
至高の存在たる素晴らしき我が魔王
天へと昇れ、魔王キョウユウ
全てを覆せ!!』
……と、繰り返されている。
自体が飲み込めずに困惑するキョウユウのもとへ兵士が駆け込んで来た。
「魔王様!!
「何だと……⁉」
キョウユウは再び窓の外を見た。相変わらず自分を讃える歌は鳴り止まない。殺す相手を讃える歌を歌いながら襲撃してくる
キョウユウは気付いた。奴らが歌っている歌の最後の『全てを覆せ』という言葉……これは『現在の魔王軍の苦境を覆せ』という意味ではない、『言葉の意味をひっくり返せ』という意味なのだと。
キョウユウのこめかみには血管が浮き上がり、ビクビクと
お前に威風などありはしないと。
千の将は反抗し、万の兵は誰も従わないと。
お前は最低の下らない魔王だと。
そして……お前など地に
「ご……ゴミ共がぁぁぁっ!! 皆殺しにしてやるぞぉぉぉっ!!」
キョウユウは壁に架けてあった剣を手に取ると、足取り荒く寝室を飛び出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます