エピローグ “SとMを間違えたら”
同窓会騒動があってから一か月がたったある休日。
俺は引越しの手伝いをしている。
誰のって?そりゃぁ、
「遥ぁ、本ってどこにおけばいい?」
…毎回俺の話の邪魔ばっかりしてくるなんて一人しかいないッ
「お前の部屋の端にでも置いて。」
「え~、せま~い!」
「文句言うな!家主はお~れ~!!」
「は~い・・・。」
まったく…本当に世話が焼けるやつ。
俺は台所の方の片づけをしていたから、あっという間に片付いていることに気が付かなかった。
雅樹は俺の横にぴとっと引っ付いてきた。
「ん~?なんだ?」
「俺たちの愛のアルバム見たくない?」
愛のアルバムって…それ。
「どう見ても卒業アルバムじゃねぇか。」
「うん!俺たちのラブラブがいっぱいのって「るわけねぇだろっ。」ぶ~。」
俺はいじけられないように仕方なく一緒にアルバムを開くことにした。
「懐かしいね~、あ、この人面白かったよね!」
「おい。」
「あ、俺たちの2ショットだよ!」
「おい…!」
「ん~?」
「なんで俺がお前の足の中にすっぽりとハマんないといけないんだよ!!」
「え?だって俺ら恋人じゃん?」
そういわれちゃうと何も返せないんだけど…。
俺はムカついてささっとページを飛ばしてやった。
「あ~、見てたのに!」
「知るか!」
・・・ん?
アルバムの中からいくつかのメモがさらりと落ちた。
「あ゛!だ、だめ、それ見ないで!!」
雅樹が困ってるってことは~…俺にとって好機になる代物じゃね?
俺は雅樹の県政をひょいっとよけてメモを覗いた。
「どれどれぇ、
2月17日
今日は雅樹君にブログのフォローを頼まれた。もちろんフォローをするのだが、アカウント名どうしようか…。・・・え?」
考えて決めたであろう雅樹のアカウント名は…ッ?
「”プリン太”?」
「あちゃ…ばれちったか…。」
SとMを間違えたら
「おまッ、これって・・・。」
「フフ…、うん。"プリン太"は俺。遥は俺の事女だと思ってたみたいだけど。」
「だってそれはッ!お前の一人称が”私”…だったから。」
俺はいたたまれなくて顔を伏せた。
「…え?それだけで勘違いしたの??」
「…そうだよ。」
「遥くんっておバカなうえに早とちりするんだ…。」
「んだとこら。」
俺がふいに顔を上げるとその顎が雅樹の手によって固定された。
「女だと思うのは自由だけど…、いっつも俺のこと愚痴ってたってわかってるかな…?」
お、鬼ぃ!!!
「俺のことどれだけ好きなのかひしひし伝わってたよぉ、毎日。」
「い、言うな…バカ・・・人でなし…。」
「なんとでも言ってよ。でも俺は、遥くんをパソコン上でも会社でも学校でも…ここでも慕ってる…。」
遥はそういって俺の頭に手を置いた。
「遥くんはもう十分俺を思ってくれてるってわかってるから。だから不安になる必要ないんだよ?」
「・・・。」
また…。雅樹は俺の欲しい言葉を欲しいときにくれる。
その言葉で俺は何回も振り回されたけど…何回も元気をもらった。
そして何回も…
惚れ直した。
本人には絶対に言ってやんないけどな!!
「不安なわけあるか、ばぁか。」
・・・END・・・
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