~坂井雅樹ver.~

遥くんは、俺のワイシャツにゲロをまき散らして、にっこり笑って首をかっくり後ろに折って眠りについた。


「…うわ…。中田君、ドンマイだね…。」

「カワイソー。」


そんな声が女子から聞こえてきた。


やっぱりみんな分かってないな。

でも、このまま遥くんを悪者にするのも気が引ける…。


まぁ気づかれないようにしてきていたんだから、無理もない。



「そんなことないよ?ゲロすら愛しく感じない?」


せっかく笑顔で本音を言ったのに、会場が一気に凍りついた。


みんなの目は俺への軽蔑の目もあることが感じられた。



ほらね、遥くんのは俺しかいないんだよ。

もちろん、俺にも遥くんしかいないけどね。


「な~んてね。遥くんの処理は俺がやるから、先においとまさせてもらうね。」


俺は遥くんを背負って、元クラスの輩がいる会場を後にした。

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