~坂井雅樹ver.~

俺のほど良かった緊張は、この一瞬で凍りつくほどの怒りに変わっていた。


まず遥くんが現れたことはびっくりした。…けど、それよりもッ!!



どうして遥くんの隣にあのオッサンがいるんだッ!?


しかもニヤリと俺を見ながら遥くんの肩に手を回している。




マジでなんなんだよ…。

俺のイライラが直ぐに体中をかけ巡った。



…にしても、黄花さんとこのオッサン…目が似てる気がするけど…気のせい…だよな?


「坂井くん、こっちよ。」


「…はい。」


黄花さんに呼ばれて、俺は仕方なく横についた。



遥くんもあのオッサンに呼ばれてそそくさと席についた。


あんなにいうことちゃんと聞くなよな…。俺の方が後輩だけど…いや、だからこそかな…あんなにしっかり従ってるの見るのは…俺には苦痛だった。



…高校の時は、あんなに情けない姿なんて見せなかった遥くんが…俺の目の前で、言うこと聞いてる…オッサンとニコニコと微笑んでる…。



バカだな…引き攣るなら笑わなきゃいいのに…。


「坂井くん、資料を出してくれるかしら?」


「はい。」


俺は資料をそっとファイルから出した。


どうにか怒りを抑えながら、資料を配った。


おじさんの意向&私の趣向~矢間根黄花ver.~

1

……まずこの出来事は、会議の1ヶ月ほど前のこと。……



カランカラン~♪


私は今、1つの喫茶店に呼び出された。


「黄花、コッチコッチ~!」


このおじさんに!!

私は、ヒールの音をわざとらしく響かせて、席に近づく。


「呼ばなくても見えてたわよ、恥ずかしい。用件は何?」


「お前…またシワ増「用件は?」…へいへい…。」


まったく…。


「まぁ、この企画なんだが…。」


あら、珍しくおじさんが口を濁し始めた…。これはただの企画じゃなさそうね…。

冗談でも言ってみようかしら。


「気に入った男の子でもいたの?」

「ッ!!??ま、またまたァ~!!」


…図星なのね…ッ!!!!

このれっきとした腐女子の私の前で…なんて素晴らしい話をしてくれようとしてるのかしらぁぁぁあああ!!!!


ハッ…コホンッ。

落ち着くのよ、落ち着くのよぉ、黄花!


「誰?」

「う゛…庶務課の西島って子だよ…。でも、俺は相手にならないみたいだ。」

「あら、振られたの?ざまあみろね。」


私は"その子の相手がもっと気になるのよォ!!!!"なんて気持ちを抑えるために、コーヒーを静かにすすった。


「…相手、気にならないのk「なるに決まっているでしょう!!!!!!」…。」


あ、やってしまったわ…。


「取り乱してごめんなさいね。」


「気にするな…いつものことだ。」

「…。」


おじさんは企画書概要の社員欄を見せた。


「この子だよ、『坂井雅樹』。」


この坂井という若者は、私とペアになっていた。

どうして西島遥とこの子を一緒にしなかったのかしら…。


え…まさか…。


「おじさん、…また私的な面倒に巻き込むつもりなのかしらぁ?」

クシャッ


「黄花、まずその企画書の手を緩めてくれ。そして安心しろ、ここは絶対くっつく。」

グッシャァ!!


「あ゛…「ならその話乗ったわ。企画書、見せてもらったわ。」…。」


ものすごく弱みを利用されてる気がするけど…我慢しようかしらねッ!!





おじさんから頼まれた事は、

「化粧で若作り」と「坂井君にアプローチ」だった。


これ、私の出番減るんじゃないかしら?作者さん←Σギクッ


いや、いいのよ…黄花ッ!!!!

若者たちのイチャラブを思う存分見れるのよ、頑張るのよ黄花!!!!!!!!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る