第33話 新たなる騒動の前触れ

猫神さまの世界 第33話




屋敷を贈られ、奴隷を三人購入してから一週間が経過した。


僕の屋敷にシャロンさんやシェーラさんも住み始めて、ようやく落ち着いたってところだ。

ロベリアさんは、シャロンさんたちとすぐに仲良くなり三人の奴隷たちとも仲良くなれたようだ。


高坂さんもしゃべれるようになり、ようやく意思疎通ができてうれしいのか皆と話してばかりだな……。


アシュリーは、元貴族ということもあって家事とか駄目だった。

掃除洗濯と家事のすべてが全滅だった……。

メイドとして購入したはずなのに、今じゃこの屋敷で一番寛いで生活している。


キュロは、元メイドということもあり何でもこなしている。

また貴族の側にいたこともあるためアシュリーの側でいろいろ世話を焼いているようだ。


高坂さんは、メイドというより家事手伝いってレベルだ。

ただ、料理はすごく美味しかった。

高坂さんも将来は料理人を目指して、実家のお店を手伝いたいって考えているようだ。



創造神様の話では、高坂さんを元の世界に送るには最低でも一年はかかるらしく調整してもらっている。

また、そのことを高坂さんに知らせると納得していた。


おそらく、帰れるという安心感が余裕を生み出しこの世界を楽しもうとしているのだろう。

つらい今までの思い出をふっしょくするかのように、今を楽しもうとしているようだ。




「おはようございます、神様」


部屋のカーテンを開けながら、ベッドの上で寝ている僕に話しかけるのはメイド服姿の高坂さんだ。


「……おはようございます、高坂さん」

「神様って、結構寝坊助さんなんですね」


笑顔の高坂さんが、眠たそうにしている僕に話しかけてくれる。


「高坂さん、僕のことは名前で呼んでください。

それに、この世界では僕は神さまではありませんから……」


「失礼しましたコテツ君。

以後気をつけます……けど、早く起きてくださいね?」


「は~い」


そういうと、部屋を退出していく。

メイドとしての働きは申し分ないと思うけど、キュロから見るとまだまだらしい。

ただ、料理は高坂さんの方が美味いので任せているみたいだ。



下の階に降りて食堂に行くと、シャロンさんたちはそろっていた。


「おはようございます、シャロンさんシェーラさんロベリアさん」


「おはよう、コテツ君」

「おはよう」

「おはよう、コテツ君。これであとはアシュリーだけね」


どうやらアシュリーは、まだ寝ているようだ。

この屋敷では、出来る人が出来ることをするということにしているからアシュリーのできることはあまりないんだよね。


だから、今アシュリーは勉強を頑張っているらしい。

元貴族だからか頭はいいみたいだし……。




「おはようございます……」


しばらくして、ようやくアシュリーが食堂に顔を出した。

これでみんな一緒に朝食を食べることができるね。


食事前のお祈りを済ませると、各々で朝食を食べ始める。


「あ、そうだ。 コテツ君、今、冒険者ギルドに王都で有名な高ランク冒険者たちが来ているの知ってる?」

「いえ、初耳ですね」


「ロベリア、その高ランク冒険者達がどうかしたの?」

「それがねシェーラ、その冒険者達がこの町の奴隷商を回って人を探しているそうなの」

「人探しですか?」


高ランク冒険者が探しているってことは、王都の貴族からの依頼だろうか?

そして捜している人は、その依頼者に関係ある人物ってことになる。


「う~ん、奴隷商にどこかの貴族の娘さんでも売られたのかしら?」

「それが違うみたいなのよシャロン、かなり高圧な態度で見目麗しい奴隷を用意しろって言いまわっているそうなの」


……高圧的な態度の冒険者ってことは、貴族出身の冒険者ということか。

だとして、見目麗しい奴隷の中に探している人がいるのだろうか?



「探している人がいるなら、こういう奴隷はいないかって聞くわよね。なら、用意しろってことはどう言うことかしら?」

「姉さん、もしかして、探している人が分からないとかじゃないかな?」


「シェーラ、探している人が分からないって?」

「ロベリアさん、おそらくその高ランク冒険者に出された依頼はこの町の奴隷商にいる見目麗しい奴隷で、もしかしたらわかっているのは名前だけ……」


「そうか、容姿が見目麗しいとしか聞かされていないのから絞れないのか」


なるほど、奴隷商で見目麗しい奴隷を並べて一人一人名前を聞いていく。そして依頼者の言っていた名前の奴隷を購入して依頼者のもとに連れ帰るってことか。


「……流石、貴族様の依頼ね。情報が少なすぎるわ」


ロベリアさんが、いやなものを見たっていうような顔で納得している。


「でも、奴隷商に探している人がいない場合はどうするんでしょうか?」

「それはねコテツ君、ここ最近の購入者リストから探すでしょうね」


「……てことは、僕のところにも?」

「いえ、コテツ君の所は後よ。まずはギルド長のところに行くはずよ、お金を払ったのはギルド長だから」


大変だな、ギルド長って……。


「ロベリアさん、ギルド長を少し労ってあげてください」

「……そうね、ほんの少しだけ労ってみるわ」


冒険者たちの探している奴隷って、どんな奴隷なんだろうな……。








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