日本の料理作りはなぜこんなに辛いのか。

答え:女性に期待しすぎているから。以上。


答えが簡潔すぎましたか。ではもう少し具体的に書きましょう。


答え:自分は作ったことがないから日本で行う料理の大変さが分からず、世界的に見れば大変レベルと労力が高い事を女性に期待しすぎているから。


はい。そうだと思います。そもそも男性に多いのですが、「料理した事がないから」または「した事はあるがラーメンゆがいたくらいのレベルであり、レシピ本を見てその通りに丁寧に分量を量って材料を切って1時間から2時間くらいかけて丁寧にした料理をろくにした事がないから」、女性に「これぐらい作ってくれないと」と思ったり、「自分の母親の時はこれぐらい当たり前だった」レベルの料理を求めてしまうのではないでしょうか。


まず、自分が料理が苦手でよく作ってもらう立場だからこそ、自分が料理下手だと分かっているから料理教室に3年通って基礎から勉強した筆者だからこそ声を大にして言いましょう。


「毎日毎食きちんと料理を作るなどろくにやったことがないくせにちゃんとした料理を作れとか言うな。ポテトサラダ事件か」←ポテトサラダ事件を知らない方、googleで調べてください。


世の日本人男性から一斉ブーイングが来そうですが、あえて言わせていただきます。

あなたが

・きちんと作った料理した事がなかったり

(ここで言うきちんととは、

・栄養バランスの良い食事内容 であり

・作る回数も毎日であったり、1日3食など多い回数であり

・レシピを見て材料も調味料もきっちり分量通り量って

・料理時間1時間から2時間くらいかけて作ったもの の事)

・自分の母親はできていたのだから同じ女性であるお前もできるべきと考えているなら


それは非常に乱暴な話です。


ピンと来ないあなた、例を言いましょう。

奥さんが、あなたがやっている仕事を全くやった事がないのに

「もっと仕事できるでしょ。稼いできてよ」と文句を言ったらどう思いますか。

「お前、俺とまったく同じことやってからそれを言えよ! 」と思いませんか。

もう一つ、奥さんが

「私の父は給料右肩上がりで高給取りだったの。なんであなたはできないの? 」と文句を言ったらどう思いますか。

「お前のお父さんの時代と今は違うんだよ!!」と思いませんか。


そう言う事なんです。やった事がないのに文句や注文をつける事、

昔の時代とは違うのに自分の親と比べられること。とても乱暴な話ですよね。相手を傷つけるだけです。今すぐやめましょう。


二つ目は、あなたの中の「料理」のハードルを下げる事です。


欧米では料理ができる男性が多いのですが、ほぼ共働きだからと言うベースを置いておいて、そもそも「料理」のハードルが低いからではないでしょうか。

つまり、料理に、

・和洋中のバラエティーの豊富さを求めたり、

・出来あがった見た目をインスタ映え並みに求めたり(いろどりがどうとか盛り付けがどうとか言う事)、

・原材料や調味料が全部オーガニックとか出汁は絶対天然ものとか原材料、調味料に健康志向の完璧さを求めたり、

・毎日絶対違う料理を求めたり、

・1回3品など品数の豊富さを求めたり


以上のような事を相手の料理に求めません。そして相手からも求められません。だから自分が料理を作る時も「ちゃんとしたものを作らなければ!」というプレッシャーのない、気楽な気持ちでチャレンジできる=簡単な料理から作っていく→結果料理ができるようになる、のではないでしょうか。それとは逆で日本の男性は前述のような「ちゃんとした料理を作れて当たり前」と思っているので、逆に自分が作らなければならない時にプレッシャーを感じて、結果ロクなものが作れない、やっぱ男はだめだね、女に作ってもらわなきゃ、と逃げに走るのではないでしょうか。共働きが当然の今、簡単な物でいいので料理ぐらいできるようになりましょう。え?簡単なものって、と今すごく難しいレシピを考えたでしょう?その思考回路がそもそも間違いなんですよ。


筆者はアメリカに留学していましたが、向こうは料理に女性も男性も期待していません。

そもそも「料理する」の基準が格段に低いのです。基本的に一食大皿一品でもOKと言うおおらかさがありますし、その料理も必ずしも煮たり焼いたり、そもそも原材料を切ったりした準備する事もあまりありません。

たとえば野菜はすでに洗浄、カットされた野菜が袋詰めで多くの種類が売られていますから、それを買えば袋からサラダをボウルに移し替えてドレッシングを用意すればサラダのできあがり。缶詰料理も種類が豊富なので、それを1つ皿に入れてレンチンすればおかず一品できあがり。冷凍食品も大変多く、さらに一つでメイン1品サブ2品の機内食のようなワンプレーとセットも多いですから、それを買えば、究極その一食は主菜も副菜も作る手間がありません。外食やおかずなどのテイクアウト食品も豊富で手ごろな価格は多いですから気分転換もかねて外食を利用する事もできます。

これだけ「料理する」基準が低いと自ずとチャレンジするハードルも低くなります。実際料理する男性も多く、筆者も友人の家に数か月下宿していた時、友人の旦那さんは毎週末の朝食は必ず作ってくれました。ほぼフレンチトーストのみでしたが、普段から料理しなければいけない側の人間としては、自分が何もしなくて良い、座っているだけでご飯が出てくることがありがたいと言う思考になるんですよ。野菜などを食べたいと思ったら自分で準備すればいい話ですからね。


日本の理想の料理として良く掲げられる「出汁は天然のものを」「時間をかけて丁寧に」「一汁三菜」などなど、それは確かに健康面や精神面で大いに良い事は分かっています。ただ、時代が今やその考えにおいついているでしょうか。専業主婦が多かった時代、子だくさんで年長の子供や同居の老人、ご近所の方に幼児を見てもらっていた時代などとと違い、料理に手間暇かける時間的余裕は女性にとってだけではなく男性にとっても、つまり誰にとっても皆無なのです。そこを日本では女性だけに料理を押し付けたり(厳密に言えば他の家事もですがそれは一旦置いておいて)そもそも昔の価値観を持ち出して議論するのは違うと思います。


料理を担当する全ての人のために、料理は時間をかけなくても良いし毎回栄養バランスを考えなくても良い、時にできあいでもインスタントでも冷凍食品でもいい、いろどりを考えなくても良い、煮たり焼いたりせず工程はレンチンだけでも構わない、日本ではそれぐらいおおらかな思考を持つべきではないかと思いました。

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