申し訳ありませんが今回のエッセーは大変読み手を選ぶため、最初に公開しておきます。これから『BLアニメ』についてお話しします。BLとはつまり男性同士のラブストーリーです。嫌悪感を感じる方、また、BLや、やおいって何？という知らない方、すみませんがここでこのエッセーを閉じていただくかブラウザバックしてください。

この段落を読んでいるあなた、BLはOKですか？ようございますか、よござんすね、それでは話を進めていきます。まだここにBL苦手な方がいらっしゃったら今のうちにここで文章閉じるんですよ！言いましたよ！

ではBLアニメについて語っていきましょう。

と、ここまで引っ張っておいてなんですが、個人的にBLは漫画小説は話に入り込めるのですが、アニメや実写は苦手です。ファンの方すみません。BLはフィクションとして楽しんでいるので、音や動きがついてよりリアル感が出てくると気恥しくなって物語に集中できないんですよね。こんな歳になってなんですが。あとこれはBLに限らず一般ジャンルの映像化にも言える事なのですが、漫画原作の場合アニメや実写にされた時に漫画でのキャライメージが声が違う、絵が似ていない、実写の俳優と原作キャラが似ていない等と原作と齟齬を起こすと見る気が失せる、というのもあります。また、個人的にBLものでアニメ化されている話がアクが強いものが多い為ライトな話を好む場合安心して見られるものがないなと感じていました。

前置きが長くなりました。そういうわけでBLアニメは見る事もありますが苦手感が強かったのです。その中でまさかのどストライク物に出会いました。

その名も『この男子、魔法がお仕事です。』

アクの強い設定はダメ、長い話は疲れると言う枯れたじじいかあんたはと言う私のようなものの為にぴったりなアニメで、見た瞬間びっくりしました。こんなさらっと見られるBLアニメがあったとは、と。

まず尺が素晴らしい。長さたったの31分。

BLは読み手の好き嫌いが大変顕著に表れるので見ない作品はとことん見ないと思うのですが、これだけ短ければ『自分の好みかどうかは置いておいて、ちょっと見てみてもいいかな』という気にさせられます。実際この尺は素晴らしすぎました。背景が幻想的で大変美しく、おしゃれなバーや魔法のように輝くカクテル、神秘的な水族館に惹きつけられているうちに話が終わっていました。

肝心の人物の絵がちょっと特徴的なのがアレですが（後述します）、声優の方が頑張っていてうまく演じられているので絵の違和感は見ているうちに中和されました。

話の設定は魔法が生きている世界で主人公が魔法を使った国家公務員。やや設定にアクの強さはありますが魔法を使用した仕事のシーンがほぼないので許せるレベルかと思います。ただ魔法を和で表現したアイデアは良いのですが、魔法の使い方が凝りすぎていたので仰々しくない方が良い感じはしました。前述したように背景が大変幻想的でまるでステンドグラスから覗いた世界のようにきらきらと綺麗なので魔法使いとの世界観は合っています。ファンタジーが好きな方は特に良いかと思います。

そうしてここが一番のポイントなのですが、ストーリーがいまどき珍しくて感動するほどピュアピュアなんです。

なんですがあのピュアマックス度。大きな事件も起こらない普段の日常、派手な当て馬も敵役もおらず恋愛模様に大波乱のドラマも起らない日常ラブ。魔法設定があるわりにはもう、普通なんですよ、普通！平凡！主人公も相手役も純粋だし出てくる人は嫌な人いないしなにこの優しい世界。主人公と相手役の恋愛もピュア一直線で心がきゅんきゅんします。あ、このストーリー展開はあれだと思いました。懐かしのザ・少女漫画。安心できる方の、つまり胸キュンな甘酸っぱい王道の少女漫画です。BLアニメでこんなに心穏やかに見られる作品って初めて（笑）で、逆に驚愕したほどです。

主題歌もこの純愛ストーリーにイメージがぴったりでした。OPを見て一気に引き込まれたのですが、なんですかこのピュアピュア加減は。歌手の方が伸びと透明感のある大変綺麗な声でOP画面だけではなく歌もきらっきらしていましたよ！！しかも絶対女性だと思って歌手名を検索したら男性声優とな！？はー、昨今のアニメ界はすごいですな。

惜しむらくは、ファンの方には大変すみませんが、キャラクターデザインがいまいちな事です。ちょっとアクの強いデザインでかなり人を選ぶのではないかと思います。その為ジャケットを見てもスルーして作品の存在に今まで気が付かなかったほどです。キャラクターをもう少し万人向けにされれば、背景の美しさは言わずもがなの為ファンはもっと増えると思うのですが。

と言うわけで熱く語ってしまいましたが、ストーリーのピュア加減と背景の美しさ声優の巧さ、絶妙な話の短さでBLアニメ『この男子、魔法がお仕事です。』は良い作品でした。なんと言っても観た後の多幸感がいい。と言ってもBLに抵抗がない方でないときついと思いますので、ライトなBLが良い方で、ファタジー好き、ピュアで胸キュン路線が大好きな方には大のお勧めです。

BL関係なく、「良い恋愛をしよう」と思えた作品でした。