ロッカー
「ロッカーの場所は、私が最初に目が覚めた場所……ちょうどあの辺りだ」
ジェームズが、少し先に見えてきたレンガの壁が立つ建物の跡地のような場所を指差す。
「なるほどな……」
「ありゃ見つからんわ」
アドルフとカルロスが納得いったとばかりに頷く。
なんでも、
四方をレンガの壁に囲まれ、外から見たらあの中にロッカーがあるなんて想像もつかない、
そんな難しい場所にあったそうだ。
実際、
ジェームズ自身も、目覚めた場所でなければ気づきもしなかっただろう。
「よし、ここから先には俺が一人で取りに行く。みんなは作戦通り、周囲を警戒してくれ」
哲郎が、拓けて視界のいい場所を指差し、指示を出す。
「よし」
「わかった」
「まかせろ」
それぞれ返事する3人。
ここへ来るまで、
自分に致命的なダメージを与えうるアーティファクト、
それをヤツが警戒しないわけがないと、
一人がアーティファクトを取りに行き、残りの三人で周囲を警戒、最悪オリジナルが現れた場合は全力で時間を稼ぐことにした。
そして、
話し合いの結果、アーティファクトを哲郎が取りに行き、周囲を他の三人で警戒するという作戦が出来上がったのだ。
話し合いついでにこの世界のことについて説明を求めたジェームズ、
ジェームズの質問に一つ一つの質問に答えてくれた哲郎の話によると、
ステージにはあちこちに隠れる場所や、身を守るために使えるギミックがあるそうだ。
ジェームズが最初にいたあのレンガの壁も、そのギミックの一つで、図体の大きなバケモノはあの狭いレンガの建物には入れないし、この世界のオブジェクトはいくらヤツらの力が強くても破壊はできないらしい。
だから、直接的な戦闘になれば瞬殺間違いなしの状況でも、諦めずに逃げて、あのレンガの建物のようなギミックの場所へと逃げこめば、かなりの時間を稼ぐことができるそうだ。
「急いでくれよ?またいつヤツが戻ってくるか分からないからな」
「できるだけ早くな」
言いたい放題のアドルフとカルロス。
「ああ、そちらこそ、後ろは任せたぞ」
哲郎も返事だけする。
「……ああ、ヘマだけはしないようにな」
「互いにな」
拳をぶつけ合って互いの意思の硬さをを確認し合うジェームズと哲郎。
「では、作戦開始だ‼︎」
哲郎の掛け声を合図に、四人は一斉にそれまでかけれていた茂みを飛び出した。
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