第296話 体育館裏

 私は胸を張ってA組から立ち去った。

 後から、そそくさとサンタが付いてきて、ジョークを飛ばした。


「ねぇ、イチゴ! 絶対、元ヤンだよね!!」

 

「え? 違うって言ってンでしょ!!」

 私は、前だけを見て歩いていった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 ナゼか、ヤンキーが相手を呼び出すのは体育館裏だ。

 もちろん、人目に付かないのが良いのだろうが、初めて足を踏み入れた。

 若干、蒸してはいたが暑さは和らいでいた。

 ウチらの高校には、所謂いわゆるヤンキーはいないので、ここを訪れる生徒も少ないだろう。


 今にも雨が降り出しそうな天気だ。

「あァ~あ…!!」

 サンタは空を見上げ呟いた。

「やっぱ、自転車で来るンじゃなかったな……。」


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