第293話 本城譲
「ねぇ、ちょっと…、顔、貸してよ!!」
一番、ドスの効いた声で言った。
「え……?」
本城は少し戸惑ったようだ。
「やっぱ、元ヤン?」
背後でサンタが呟いた。
「違うって!!」
私は振り返ってサンタを睨んだ。
「………。」
だが、本城は無視を決め込んだ。
「おい、シカトかよ!
体育館裏まで来いよ!!」
「あのなぁ…、こっちは、推薦で大学が決まったキミらと違って忙しいンだ!!」
少し見下した態度が気に食わない。
「はぁ~!!」
私はカッときて、彼の胸ぐらを掴んだ。
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