応援コメント

第1話 フォン・リーベルと魅了の卵:とある吟遊詩人の記述」への応援コメント

  •  初めまして、自主企画「ファンタジー・SF批評大会」に参加しておりますキロールと申します。

     今回は論評者として参りました。早速、批評の方をやらせていただきます。


    【総評】
     まず、全体を読んだ感想ですが、興味深く面白かったです。ターチルの生態や鳴き声まで決めている点などは感心いたしました。それに、そのターチルの卵を使った料理ターチルエッグを食すために、フォン・リーベルが経験した苦労は如何程なのか……思いを馳せずにはいられません。
     ソルティアに辿り着き、ターチルエッグを注文してから、料理が届くまでの緊張感や、万感の思いを抱いて一口食べる所など、当人は真剣でも傍から見れば滑稽にも映る描写は秀逸です。
     最後の落ちを含めて、短いながら味わい深い滑稽譚であると私などは感じました。

     文章自体もおかしな点は殆ど無く読み易かったですし、そのおかげで物語に集中できました。

     ですが、所々気になる点もありました。

     まず第一に、ターチルの姿形が特に描写されていない事です。鳴き声や卵を産む場所まで決まっているのに、その姿に関して描写が無いのは聊か不自然に感じました。また、ターチルが鳥なのか、蛇なのか、それ以外なのかも分からないため、その点が引っ掛かりを覚えます。
     現実世界であれば、断崖の中腹に卵を産むなどと言うモノは、鳥か爬虫類かと言った所ですが、ファンタジー世界では違います。ソルティア大陸を含めた世界は、作者様の頭の中にしかない物です。それを読者に伝えるには今少しだけ加筆の必要性があるのではないかと思います。
     例えて言えば『なにせターチルは』と『険しい断崖の中腹に隠すように卵を産む』の間に一言でもいいので、その動物名を書いてみるとまた違うのではないでしょうか。
    つまり『なにせターチルと言う名の黄色に染またトサカを持つ鳥は、険しい断崖の中腹に隠すように卵を産む』……この様に描くと、より一層、自分の中にある情景を伝えられると思います。

     第二にですが、これはソルティアの文化や習わしが分からないと何とも言えませんが……。如何に要人御用達の高級店とは言え、『竜の背びれ停』(亭の間違いでは?)の護衛に騎士を充てるのは如何な物でしょうか? 騎士と言えば貴族に類するものである事が普通でありますので、騎士の様に綺麗な身なりの傭兵とか、剣士などと書いた方が良いのではないかなと思いました。
     無論、この世界では騎士と呼ばれるものは、傭兵や冒険者とあまり違いが無いと言うのであれば話は別です。そういう意味で、これは重箱の隅を突くに等しい疑問ではあります。

     最後に、フォン・リーベルの万感の思いを込めた感想が「んまぁい」だと、少しネタに走り過ぎてしまっているのではと思われます。私はこのセリフの所為で彼の姿がジョジョ四部の虹村億泰に固定されてしまいました。あちらは「ンまぁ~い」でしたけれど。作者様が想定していた事ではないかもしれませんが、有名な漫画やアニメなどとセリフが重なると印象がそちらに引っ張らっれる事は多々あります。多少、気にすることは必要かもしれません。最も、全てを網羅できるわけではないので、仕方ない部分はありますが。

     長々と細かな点を挙げさせていただきましたが、あくまで個人的な主観を元にしたものです。ですが、作者様の創作活動の一助となればと思い書かせて頂きました。これで、私の批評は以上とさせていただきます。