××の宿
吉田拓郎さんの歌で「旅の宿」なんてあります・・・名曲ですが!
山形へ旅行に行った。
防波堤で竿をだしたら大きなキスが釣れ、太い糸を一撃で切って逃げる平目がかかったりと楽しいすべりだしだった。
その日の泊まりは海が一望できる海辺の少し高級な宿。
旅行会社の格付けも、利用者の評判も高い。
綺麗な海を見ながら露天風呂に入り至福の時を過ごした。
部屋からの眺めは良く、部屋は広々としていた。
「この部屋なら5人ぐらい泊まっても余裕だね。」
部屋にはベッドが二つあり、あと布団は10枚ぐらい敷けそうな広さだった。
普段からベッドに慣れているので、母と私はベッドで寝た。
父は広〜い部屋の真ん中で布団で寝た。
家にいるとあまり食べない朝食をガッツリ食べ、海を見ていた。腕がかゆい。
意識、無意識に腕をかいている。
やがて山形を出発し、帰宅の途についた。
かゆい。かゆい。あっちもこっちもかゆい。
母もうでやら足やらをガリガリかいている。
(強毒の蚊かな?)
噛まれあとを見てみると、穴が二つあいている。
(??)
「ねえ、口が二つある蚊なんているの?」
父はさもおかしそうに
「口が二つの蚊?いないよ。穴が二つなら多分ダニだね。」
と笑う。
「ダニぃ?」
母の声とハモった。
母は父の前にヌッと腕を出した。
「こりゃダニだね。」
余計に痒くなってきた気がする。
家に帰るまでのしばらくの間、車の中は無言で二人無心に身体をかく音だけがしている。
帰宅するや否や、薬箱から我先とかゆみ止めをだして塗った。
が、一向に痒さは収まらなかった。
身体中20箇所以上ダニね噛まれるといった災難に見舞われた。
1ヶ月後二人の腕やら足にはまだ汚い掻きこわし虫刺されあとが残っていた。
恐るべし「ダニの宿」。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます