書評19.ユズィクは(たぶん)筋トレをしない
私は筋トレをしません。
したほうが、自信もつくし、元気もでると思います。
威圧感も出るし、説得力も増すでしょう。
服飾にも今や興味がありません。
飾ったほうが、自信もつくし、元気もでると思います。
威圧感も出るし、説得力も増すでしょう。
ついでに言っておくと、金もあまりありません。
金を持っていたほうが、気持ちもずっと晴れやかだし、優しくなれると思います。
尊敬もされるし、将来への不安も減るでしょう。
しかしそれらによって補強されることを、今の私はあまりよしとしないのです。
それらによって補強されないまま、私固有のおかしな生存スキルを身に着けようと四苦八苦しています。
ストイックにそうしようと決めているというわけでもなく、本能的にというか、気分のレベルでそうなっています。
(ただ、金だけは、もう少しどうにかならんものかと思っているのですが)
わざわざ縛りプレイで損しているような、とびきりの阿呆なのかもしれないですし、あるいは、特異なガラパゴス的能力を発露させるのかもしれません。
今の自分には、何もわからないです。
ただ四苦八苦しているだけです。
書評19.『エメラルドギロチン』 作者 myz
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884424761
小説を読む前に、まず「エメラルドギロチン」というタイトルに目が留まった。
「エメラルド」と「ギロチン」という言葉の並びには、詩がある。
「ギロチン」と並んだ時に「エメラルド」という言葉が放つ、オリエンタルな歴史の深み。
「エメラルド」と並んだ時に「ギロチン」という言葉が放つ、たった一つの緑がかった断頭台のイメージ。(数ある無限のギロチンの(そしてもちろん無限の斬首の)イメージの中から浮かび上がる、「たった一つの断頭台」のイメージ)
それは言葉のモンタージュであり、いわば「解剖台の上でのミシンとこうもり傘の不意の出会い」だ。
さて、問題は、この美しいタイトルが、作者の意図した結果としての美しいタイトルなのかどうか、だ。
作者の美しいイメージに適切に言葉が与えられた結果なのか、それとも、そこまでの深いイメージを持たない作者がいたずらに組み合わせた(そう、まるで自動筆記のように)結果で偶然に発生したものなのか。
それを知るのは簡単だ。
作品を読めばいい。
タイトルだけが偶然にたまたま美しくなってしまっただけなら、作品は美しくないに決まっている。
さて、私はこの作品に目を通した。
この『エメラルドギロチン』という小説は、タイトルに劣らず美しい。
私は子供のころから、「この世界にはまだ我々の公然の常識とされていない、何か秘密のようなものがあるのではないか」という疑問を捨てたことはない。
それは「世界の中心に行けばそこに秘密が隠されているのではないか」という疑いではない。
「今この瞬間の私のかたわらにも、まるで私の気づいていない秘密が隠されているのではないか」という疑いだ。
この世界の片隅(あらゆる箇所は片隅だ)に、適切なタイミングと適切な方法で適切な処置を施せば、まだ誰も気づいていなかった何かが現れるのではないか。
つまり、「魔法」とは異世界との接続や、例外としての超常現象ではなく、この世界の法則のまだ誰も気づいていない側面に過ぎないのだと。
そういう疑いを捨てたことはない。
さて、この『エメラルドギロチン』の主役とも言えるユズィクは、一般的な世界では人間としてはかなり弱い。
最弱の部類に入るだろう。
そのユズィクが、魔法においては最強に近い。
これは道理の通った話だと、私は思う。
魔法における自然律は、それ自体が固有の法則体系だ。
一つの道に徹底的に通じるということは、他の道に徹底的に通じないということだ。
いわば、魔法に「全フリ」している状態である。
この作品の美しさの一端は、そういった魔法の自然律や道理についての具体的な記述があることだ。
ユズィクのゆらゆらとした足取りや、言葉を発せないという、通常の人間世界での「弱点」が、それがそのまま彼の魔法の強さの要因となっている。
ユズィクは「最弱であるのに最強」なのではなく、「最弱であるから最強」なのだ。
ヴァグランの魔眼にしてもそうだ。
魔法の道理があり、その道理に基づいて、作用する。
世界を想像し、創造するとは、こういうことだろう。
創作という、ご都合主義の右手を与えられている以上、その右手で書き記す白紙の整った静謐さにも誠実でなければならない。
言葉も、美しさも、想像力も、すべては借り物なのだから。
そしてこの借り物の世界の、誰もすべてを解き明かしたわけではない。
「もう自分にはやることがない」なんて、誰も思わないで済むように、この世界はできている。
書評19.『エメラルドギロチン』 作者 myz
書評、書きます。 kc_kc_ @ndounganye
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