第50話 幕間

 白い靄のかかった空間――


 広さはわからないが、どうやらここは部屋の中のようだ―― テーブルがいくつも並んでいる。

 テーブルの周りには、頭からすっぽりと全身を覆った、怪しげなローブ姿の者達が座っていた。皆色違いのローブを着ているようだ。


「あれっ? イエロー、キミは昨日までは『あっちのテーブル』でゲームをしていたんじゃなかったかい?」


 黒ローブが、黄ローブに話し掛けた。


「ああ、ブラックか…… あの世界じゃ、あれ以上は盛り上がりそうになさそうだから、もうあそこの【魔王ゲーム】は止めることにしたんだ」


「アハハハハ。またなのかい!

 イエローはホントに飽きっぽいね。それでも、今回はまだ長く続いていた方だけどね」


「うるさいな…… あの世界は、人族と獣人族と精霊族がいたから、まだ楽しめたけど、でももう終わりが見えてつまらなくなったんだよ!」


「でもイエローは昔、人族しかいない世界で『魔王ゲーム』をしていたことがあったよね?」


「ちっ! 嫌なことを思い出させるなよ…… あの時は確か、やたら変な格好に凝った人族の男に『アイテム』を与えて『魔王』を名乗らせたんだよ。

 そして、魔王の周りの人族共にも力を与えて、世界中を混乱させるように仕向けたんだけど…… あれは結局人族同士の戦争とほとんど変わらない―― って気付いたから、飽きちゃってすぐにやめたんだ。

 あの後、あの世界がどうなったかは知らないし興味もない」


「そうだったね! イエローはその魔王に『城』まで造ってやったのにね!」


「その時の反省から、ボクは人間種1種類の世界じゃ『魔王ゲーム』をしないことに決めたんだ」


「『魔王ゲーム』だけじゃないぞ。他のゲームでも人間種が1種類の世界では盛り上がらないぞ」


「そうよ! 特に精霊族は全然ダメだわ」


 黄ローブと黒ローブの会話に、緑ローブと赤ローブが混ざってきた。


レッドの言う通りだ。精霊族の連中は自分達の信仰する【神】しか信じないから、俺達がどんなに手を出しても見向きもしない…… ホントに面白くない連中だ」


「そんなことを言いながら、グリーンは精霊族を苛めるのが大好きだけどね」


「それは兎も角、イエローは飽きっぽ過ぎね。

 ブルーを見習ったらどう? ブルーはいつも1人なのに、大抵最後までゲームをやりきるわよ」


「ほっといてくれよレッド……

 あれ? そういえば、そのブルー―― 何で、あんな部屋の隅っこにいるんだい?」


「あぁ。ブルーは今『イジケ中』なんだよ。

 ブルーは、いつものように【勇者ゲーム】に勤しんでいたんだけど」


「覚えているか? イエローが人族だけの世界で『魔王ゲーム』を始めたのと同じ頃に、ブルーも『勇者ゲーム』を始めたことがあっただろ?」


「さっき話してた『魔王ゲーム』の頃だな。確か―― その時の『勇者ゲーム』では、人族が暴走したせいで、ブルーが準備していたことが全部パーになったんだよな?」


「そうそう! 勇者の準備前に、洗脳中の人族が魔族の領地を攻めたせいで、逆に魔族にボロボロに返り討ちにされてしまったんだよね。

 でもブルーは、懲りずに同じ世界でまた『勇者ゲーム』を始めようとしたんだよ。リベンジ―― とか言ってね」


「ところが! また、その世界の人族が暴走して、前と全く同じように魔族にボロボロにされたらしいのよ! 笑っちゃうでしょ!」


「それで、ブルーは機嫌が悪くなって、あんなところでイジケてるのかい?」


「そうそう。『もうあの世界では遊ばない!』―― なんて言ってたよ」


「おいおい。なあ、もうイジケてないで元気出せよブルー

 それより、どうだ! こっちで、俺達と【戦争ゲーム】をしないか?」


「放っておいてくれ! ボクは1人で遊ぶ『勇者ゲーム』にしか興味ない!

『戦争ゲーム』はお前らだけでやればいいだろ!

 ボクはこれから別の世界の『勇者ゲーム』を進めることにするんだよ!」


「わかったから、そんなに怒るなよ。じゃあ―― イエロー、キミはどうだい? ボクらと一緒に『戦争ゲーム』をしないかい?」


「うーん…… 僕もパスするよ。ちょっと『魔王ゲーム』に向いてそうな世界を見つけたから、そこで遊ぶ予定なんだ。

 悪いけど『戦争ゲーム』はキミら3人で楽しんでくれ」


「困ったな…… 今度の世界は、人族、魔族、竜人族、獣人族と、ついでに精霊族までそろっているから、4人で遊べばすごく面白くなるのにね。

 仕方ないか…… 1コマ、空きにしておくか」


 あはははは!


「あっちのテーブル、随分盛り上がってるわね」


「ゲームも終盤に入ったようだな。じゃあ、こっちもそろそろ始めるぞ!」

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