第25話 卒業

「それでは、本日でシリウス君、ルーク君、ローガン君、グレースさん、ララさんはこの教会学校を卒業することになりました。成長した君たちなら、どのような道でも負けずに進んでいけると思っています。相談でもお茶を飲みにでも構いませんので、またいつでも教会にいらしてください。君らにアルテミシア様のご加護がありますように、祈っていますよ」


「「「「「ありがとうございました!!」」」」」


 僕らも十二歳になり、教会学校を卒業する歳になった。


 僕はあれから父さんと母さんと鍛錬を積みながら、周辺のフィールドで魔物狩りをする日々を送っていた。

 この周辺はゴブリンキングが発生してからは平和なもので、魔王が発生したという実感はない。


「皆はこれからどうするんだ?」


「ローガンは牧場の手伝いをして、継いで行くんだったっけ? 俺は勿論冒険者になるぜ! 俺は剣士だからな、スードの冒険者学校に行くつもりだ」


「私もルークと同じってのは癪だけど、スード冒険者学校に行くつもりよ」


 南部都市スードは剣や槍と言った戦士が多く、剣士を志す者はスード冒険者学校に通うのは必須とも言われているくらいの所だ。

 その代わり魔術の授業は本当に少なく、脳筋ばかりという噂でもあるが……


「僕も、冒険者学校に行こうと思っています。魔術も学びたいので、セントラルに行くつもりですけど」

「カーッ! 金がある奴はいいよなぁ…… シリウスの実力ならセントラルでも合格できそうだし、羨ましいぜ……」

「コツコツ魔核を集めてただけなんですけどね」


 王都セントラルの冒険者学校は剣も魔術も高レベルの指導を受けられるらしいが、学費が高いため貴族が多いそうだ。

 僕はこの六年間の狩りで得た魔核を父さんが換金してくれていたため、余裕で学費を払える金額は稼げていた。


「私はヴェステン癒術学校に…… シリウス君について行きたかったけど……」


 西部都市ヴェステンは癒術局本部が位置しており、癒術学校が唯一ある都市でもある。

 ララちゃんのように癒術師になりたい者は癒術学校で規定のカリキュラムを修了し、癒術局で修行しなければいけないため選択肢がないのだ。


「私はイステン冒険者学校に行く」


 東部都市イステンには魔術局本部が位置しており、イステン冒険者学校も魔術の授業が非常に充実しているという。

 魔術師を志すクロエさんにはピッタリの場所だ。


 ちなみに話に出なかった北部都市ノルドだが、非常に厳しい寒さで住むのには中々に過酷な地だ。

 その厳しい寒さのお陰で厳しい規律のもと生活しなければならず、規律正しい軍人の教育に適している場所だと言われており国軍の訓練所がある。

 また冒険者ギルドもあるが、余程のマゾかストイックな人しか来ないため、所属人数が少ないらしい。


「皆、冒険者になったらパーティ組みたいな!」

「あんたはまず冒険者学校を卒業できるかの心配した方が良いわよ」

「ははっ確かに!」


「みんなが怪我したら私が治すよ!」

「……魔術でシリウスを超える」

「僕は父さんと母さんを超えたいな」

「お前らたまには村にも帰ってこいよ! うまい飯食わしてやるから!」


「じゃあ、次会う時は夢を叶えた時かな? またな!」

「あぁ、みんな元気でね」

「私のこと忘れるんじゃないわよ!」

「みんな健康には気をつけてねー!」

「またね」


 こうして僕らは、それぞれ新しい道を歩むことになった。



「ちゃんと携帯食持った? 回復薬ポーションは? お財布も持ってるわよね?」

「全部持ってるよ。母さん、心配しすぎ」

「シリウスがもう家を出るなんて、時間が経つのは早いな…… 魔術の鍛錬は毎日欠かさずやるんだぞ。すぐ忘れるからな」

「父さん、分かってるよ」

「剣術の鍛錬も忘れちゃダメよ。あとはこれ、私たちからの餞別よ」


 餞別として母さんがくれた刀は、一目見るだけで相当の業物であることがうかがえた。

 鞘から刀を引き出してみると刀身は美しく、薄らと魔力を帯びていた。


「これは昔、レグルスが私に贈ってくれた刀、『雷薙』よ。レグルスの雷属性付与との相性がピッタリに作られているの。レグルスから雷魔術適性を受け継いだあなたなら、私以上に使いこなせるはずよ」


【名前】雷薙らいなぎ

【ランク】S

【説明】

雷神龍の魔石が内蔵されており、雷魔術との相性が非常に良い。

刀身は高純度ミスリル、鞘は世界樹の枝でできている。


 とんでもない代物じゃないか!!

 魔力伝導率が非常に高いミスリル性の刀ってだけで超高価なのに、雷神龍の魔石を使った武器とか聞いたことないよ!?

 しかも鞘の世界樹の枝は耐久度もさることながら、魔力を無効化するという伝説に近い素材だし……


「こんな貴重なもの本当に貰っていいの? 二人の思い出の品だし……」

「いいのよ、私はもう現役冒険者じゃないし、シリウスなら私以上に使いこなせるわ。私は沢山武器を持っているから、気にしないで」

「あぁ、ミラにはもっと良い剣を贈ってやるから心配するな」

「あなた……」


 二人共、格好よすぎるよ……

 やっぱり二人は僕の目標だ!


「父さん、母さん、ありがとう……! 大事に使うね!」

「あぁ。シリウス、元気でな。お前は強くなった。しかし、冒険者としての経験はほとんどゼロだ。自らの力を過信しないで、学校で冒険者としての働き方を学んでくるといい。何かあったらいつでも戻ってきていいからな」

「そうよ、無理はしないでね」

「うん、ありがとう! それじゃあ、行ってきます!」

「「いってらっしゃい!」」


 そうして僕は故郷の村から王都セントラルへ旅立った。

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