第12話 ゴブリンリーダー戦
遠巻きでこちらを窺っているゴブリンリーダーへクロエさんとジャンヌさんが『
取り巻きの一人が自ら魔術へ飛び込み、身体を盾にしてゴブリンリーダーを守る。奴らはリーダーを守るためなら死すら厭わないようだ。
一方、魔術を行使しまくった僕の魔力残量はかなり少なくなってきていた。
しかし、リーダーは体力が高く武器も所有しているため近接戦闘は中々に厳しい。
しかし僕の遠距離魔術の中では『
しかもゴブリンを盾にされてしまうと威力が減衰してしまい、ゴブリンリーダーには大したダメージは入らないだろう。
残り少ない魔力で確実に倒すためには、接近して隙を作るしかない。
逃げ道は確保できているので逃げるというのも一つの手だが、また同じような奇襲をされる可能性を考えるとゴブリンリーダーは倒しておきたい。
皆を先に逃して助けを呼んでもらい、僕だけ戦うという手もあるが…… 駄目だ。
村の中にどれだけゴブリンが侵入してきているか分からない状況で皆から目を離したくない。
やるしかない。
倒したゴブリンからショートソードを拾い、ゴブリン達へ歩み始める。
「僕の魔力も残り少ないので、前へ出ます。クロエさん、ジャンヌさん、まだ魔力が残っていたらサポートをお願いします」
「まだ行ける。任せて」
「分かりましたわ!」
「前へ出るなら、俺にも手伝わせてくれ!」
ゴブリンのショートソードを拾いながらジェイムズさんが前へ出てくる。
「ジェイムズさん、それなら皆の護衛をお任せしてもいいですか? またどこからか奇襲がある可能性もあると思うんです」
「……分かった。すまん、奴らは頼む」
ジェイムズさんのステータスではゴブリンと近接戦はあまりに危険だ。
ジェイムズさんは年下の僕を危険な目に遭わせる悔しさに奥歯を噛み締めながら、僕の気持ちを汲んでくれた。
「はぁっ!!」
身体に気力を漲らせ、一足飛びにゴブリン達の下へ駆ける。僕の全速力に虚を突かれた最も手近なゴブリンを一太刀で斬り伏せる。
ゴブリンの持つショートソードは刃が潰れていて切れ味はほとんど無いに等しいような代物であったが、気力を纏わせることでゴブリン程度ならなんとか一撃で倒せるようだ。
その流れで斬り掛かってきたリーダーと斬り結ぶが、ゴブリンとは思えない膂力に僕は弾き飛ばされる。流石に強い……!
気がつくと残りのゴブリン二匹が左右に回り込んでおり、囲まれる形となっている。ゴブリンリーダーの膂力は予想以上であり、それを捌きながら左右のゴブリンの攻撃を躱すことは非常に厳しい。
残りの魔力で片付けるしかないか……
そう思った瞬間、背後から飛来した『
クロエさんとジャンヌさんだ!グッジョブ!!
僕はリーダーのロングソードを紙一重で躱し、魔術が直撃して呻いている二匹のゴブリンを斬り伏せた。
これで残りはゴブリンリーダーだけだ。
「グギャッ! グギャギャギャ!!!」
ゴブリンリーダーが激昂し、気力を漲らせる。
気力が枯渇することを一切厭わないような捨て身の身体強化だ。
僕も気力を練り上げ、ショートソードに纏わせる。
「うおおぉぉぉ!!」
僕とリーダーの剣閃が交差する。
明らかに膂力で劣っているため、剣撃が交わる度に後ろに押し出されていく。
衝撃をいなしきれず、身体が悲鳴を上げている。
一方ゴブリンリーダーは僕を追い詰め、歓喜の笑みを浮かべている。
やはり接近戦は厳しすぎる……
機を伺いつつ、自らの身体が限界に近づいていくことに焦りを感じていると、クロエさんとジャンヌさんの『
強力な気力を纏っているゴブリンリーダーにはほとんどダメージは通らなかったが、僅かな隙を生む。
ここだ!!
『
強力な電圧により身体を焼かれたゴブリンリーダーは痙攣し、その動きが停止する。
そこへ最後の魔力を振り絞り、僕の魔術の中で最も殺傷力がある『
かろうじて受けようと刃が立てられたロングソード諸共斬り裂かれ、ゴブリンリーダーは地に伏せた。
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