第64話 【リアル過去編】花の女子大生

花の女子大生になった刈茅未菜は、先日サークルの先輩と意気投合し、先輩の家にお泊りしてしまった。

寝込みを襲って、ディープキスをしたまではよかったが、そこで先輩が目覚めて、マジ切れしてしまい、サークル自体出禁を食らってしまった。


「あーあ、女性ばかりのいいサークルだったのになあ。」


ボーイッシュなショートカットに、ブランド物で身を固めながら、自然と着こなすお嬢様。

中高とトップクラスの頭脳を持ち、才色兼備とは彼女のためにある言葉の様だが、残念ながら、中身は腐っていた。


「そろそろ千鶴も全日本が終わって落ち着いてる頃ね。」


自称恋人の名前を思い浮かべ、彼女に会いに行く事を決めた。

同じ大学に居るため、簡単に会うことが出来る・・・訳ではないがストーカーの如く、千鶴の履修科目が頭に入ってるので、探すのは訳なかった。

さっそく千鶴を見つけ、声を掛けようとすると。


「なっ・・・。」

なんと、井伊千鶴は、右足にギブスをはめて、松葉杖をついていた。


「何があったの千鶴、誰が私の可愛い千鶴をっ!」

詰め寄って問いかける未菜。


「み、未菜、落ち着いてください。」


「い、痛い、痛い・・・。」

未菜にアイアンクローをかまし、落ち着かせる千鶴。


「落ち着きましたか?」


「い、痛いじゃないっ。」


「そうですか?中学までは、いつもの事じゃないですか?」


「いや、そうだけど・・・あんた握力上がってんじゃないの?」


「まあ、10以上は上がってると思いますよ?」


「ちょっ・・・中学で40近かったのに・・・。」


「これも未菜のお蔭です。いつも変な事してくるから、いい練習になりました。」


「・・・。 それより足どうしたの?」


「大会で、やっちゃいました。全治2ヶ月です。」


「えっ・・・。」


「いえ、そんな大きな怪我じゃないんですよ、手術すればもっと早く治りますし。」


「手術しないの?」


「将来を考えたら、自然治癒の方がいいだろうって。幸い学生選手権も全日本も終わりましたし、ゆっくり治ります。」


いつもの千鶴のように見えるが、未菜には落ち込んでるのが、よくわかった。


「あんた部活はどうするの?」


「当分お休みです。」


「だったら、今日、講義終わったら、遊びに行かない?」


千鶴の気分転換のために、未菜は遊びに誘った。


「嫌です・・・。」


「え・・・。」


「行きません。」


「ちょっ、用事でもあるの?」


「ないです。」


「・・・。」


「・・・。」


「私、泣いちゃうよ?」


「アイアンクローしますよ?」


「久しぶりに遊びに行くくらいいいじゃないっ!」


「サークル出禁になるような人と遊びに行きたくありません。」


「うっ・・・、何故それを・・・。」


「和美先輩が教えてくれました。」


「あのアマア・・・。今度はディープだけじゃすまさねえ・・・。」


「ということで、私は講義がありますので。」


「ち、ちづるーーーーーっ」


その場に泣いて伏せる未菜だったか、まったくもって無視された。




その日の講義も終わり、帰ろうとした千鶴だが、やっぱり未菜は待っていた。


「えへへ。」


笑いかける未菜をスルーし歩いてく、千鶴。

松葉杖なので、歩く速度は遅い。


「ちょっ、無視はないでしょっ?」


「離れてくれませんか?こんなのと幼馴染なんて思われたくないんで。」


千鶴は、1年生ながら学生選手権で優勝してる為、学内では有名人だった。

もちろん、未菜も先日の件で、有名人に。


「おい、あれ1年の刈茅だぜ。」


「ミスの最有力候補が、まさかガチだったなんて・・・。」


「おれあの子のファンだったのになあ。」


「いや、なんか雰囲気違ったよ。最初から。」


周りが騒ぎだす。


「あれれ・・・。私、有名人に?」


「和美先輩、相当怒ってましたから。」


「だってさ、家に泊めてくれたらOKじゃないの?」


「その腐った頭、速く治した方がいいですよ。」


「そんなあ、私、千鶴にまで捨てられたらっ・・・。」


「それはそうと、何処行くんですか?」


「へ?遊んでくれるの?」


「場所によります。変な所だったら、行きません。」


ここで、未菜は考える。

欲望むき出しの場所を答えると、千鶴は本当に帰ってしまうだろう。


「じゃ、じゃあゲーセンは?」


「あまり、動きたくないです。」


「ああ、ゲーセンって言ってもね。VR機の体験が出来るお店屋さんね。」


「VR機?」


「バーチャルリアリティーなんだけどね。」


「私、ゲームしないんで、よくわかりませんが。」


「足怪我してても大丈夫だから、行ってみよ?」


「変な所だったら、本気のアイアンクローしますよ?」


「えと・・・今日食らったのは、どの程度?」


「半分の力も出してませんが?」


「へー・・・。」


【あれで半分って、本気出されたら私、死んじゃうかも・・・。】

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