第57話 ギルド定例会議2

「皆すまないな、私の仕事の都合で定例会議の時間を遅くしてしまって。」


ベルラインが、会議出席者に謝った。


「いえ、我々も残業とかありますんで、遅くしてくれた方が助かります。なあ?」

幹部たちが、頷く。


「俺は、いつでも構わんから気にするな。」

ギルバルトが言う。


「前から思っていたのだが、ギルバルト、貴様は働いてるのか?」


「働いてるよっ!昼間居ないだろっ・・・。」


「昼間など、ONしてないから、私にはわからんっ!」


「・・・。」

無職の疑いを掛けれたギルバルトだった。


「えー・・、気を取り直して・・・。まずはクレインの事からだが、あれ以来ON率が低下している。」


「そのようだな。」


「やはりカラットに負けたのが原因だろうか?」


「違うな。」


「じゃあ、アレか?」


「アレだろう。」


「俺たちが口を挟む事じゃあないのは重々承知だが、クレインがONしないと聖騎士団にとってもあまり良くない状況に・・・。」


言葉を濁す、ギルバルト。


「今は、カルディナは居ないようだ。はっきり言ったらどうだ?」


「カルディナの暴走を止める奴がおらん・・・。」


「貴様、団長だろっ!何とかしろっ!」


「もちろん、自重するように注意はした。」


「何て言われた?」


「(黙れ屑っ、お前は使えるNPCなんだから、こっちが話掛けない時は、

  話しかけて来るなっ!)と言われますた(涙)」


「「「・・・」」」


「ここは一つ、副団長から一言言って貰えないでしょうか?」


幹部の一人が提案した。


「わ、私がかっ・・・。」

焦るベルライン。


「ベルを餌食にしたいのか、お前は・・・。」


「しかし、副団長の言う事なら素直に?」


「聞いてたら暴走なんてしないだろ。」

ギルバルトが諦めたように言う。


「とりあえず、クレインちゃんには、私からメールを送っておこう。スマホと連動してるはずだから、ONしなくても内容は見てもらえるだろう。」


「頼む。」


「ビショップさんとも、よく冒険に行くようですし、そちらからも?」

幹部の一人が言った。


「ビショップには、既に言ってもらった。酷い事を言われたようだが・・・。」


「どうにもなりませんな、百合姫は・・・。」


百合姫、それが聖騎士団でのカルディナの通り名だった。



カルディナがギルドルームに入室してきた。

全員が、それを確認し、定例会議を終了させた。


「ねえ、誰か私と遊びません?リアルでもいいけどw」


他の女子団員に話しかけるカルディナ。


「い、いえ間に合ってます。」


「そんなつれなくしなくても、ねえ?」


やり取りを聞いていた男子団員が、全員、団長の方を見る。


【・・・。】

ギルバルトは、しかたなくカルディナに声を掛ける。


「カルディナ、団員が嫌がるような・・・。」


「黙れっ、屑。誰が喋っていいと言った?」


途中で言葉を斬られてしまった。

隅っこで蹲るギルバルト。


カルディナは外面は、ぴか一という程いい。

男性に対しても丁寧な言葉づかいで、コミュ障ってわけでもない。

が、慣れてくると、男性は、全員ゴミ扱いする。

過去に男性に何かあった訳ではなく、根っからの百合なのだ。


「いい加減にしろっ!団長に対して何て言い草だっ!」

ベルラインが怒った。


「ベル様っ!居たんですか?」


とすり寄っていく、カルディナ。

自称ベルライン親衛隊は伊達じゃない。


「ち、ちち、近寄るなというに。」


「そんなあ、サーラントさんには許してるじゃあないですかあ。」

あまったるい声を出して、ピッタリとくっついた。


「あ、あれは・・・。」


「あれは?」

強気で攻めるカルディナ。


「ねえ、ベル様あ、ふごがぼっっ・・・・。」


ボコっ・・・!


カルディナが吹っ飛んでいった。


「いきなり蹴るなんて、酷いですねえ。先輩。」


「たくっ、クレインからメール貰って来てみれば・・・。このガチ百合がっ!」


黒き戦士たちのカザミが言った。


「カザミ、カルディナと知り合いだったのか?」

復活したギルバルトが聞いた。


「知り合いたくは、なかったけどね・・・。」


「あら、そんな言い方しなくても。」

薄ら笑いを浮かべるカルディナ。


「ギルバルト、こいつ連れてくから。」


「すまん、よろしく頼む。」


「ちょっ、先輩。アスナさんは居るんでしょうね?」


「居ねえよ。」


「男だらけじゃないですかっ!」


「安心しろ、ボルヴィス居るからw」


「ネカマ野郎に用はないですっ!」

首根っこを引っ掴まれ、連れていかれるカルディナは暴れていた。


「それよりも、リアルで心配しろよ?」


「何がです?」


「クレインが半殺しにするって言ってたぞ?」


「う・・・。」

カルディナは大人しくなり、そのまま連れていかれた。

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