第8話 とある計画

「刀コワイ 刀コワイ・・・」


ここは、ギルド野武士のギルドルーム。

そこで聖騎士団の団長がうずくまっていた。


「刀は友達だ、怖くはない。」

野武士のリーダー、シンゲンが言った。


「お前な、他人事だと思って!お前がクレインの手綱を握ってないから俺に被害が来るだろうがっ!」


「あれは、俺より強い。それにそう言う事は自分の所の副団長の手綱を握ってから言え。」


「・・・。」

ギルバルトは何も言い返せなかった。


VR機は、様々な規制があって、痛みを感じる事は無い。

怖ければ、目をつぶれば一瞬でブラックアウトし、ゲームオーバー

になれる。

しかし、人間一度、癖がつくと矯正するのは容易ではない。


VRゲーム用語で、「アタックアイ」と言うものがある。

これは、モンス又は対人戦で、もの凄い攻撃を受けた際、その恐怖が

刷り込まれ、攻撃に対して、正常な反応が示せなくなる症状だ。


一度恐怖に負けて目をつぶってしまうと、それが癖となり、

ゲーム内でまともな戦闘が出来なくなってしまう。


その為、どんなに怖くても相手の攻撃を直前まで見続けなければ

ならない。最前線組には、絶対条件である。


いくらゲームとはいえVR機は、仮想空間である。

例えば、夢で鎧武者が襲いかかってくれば、誰でも怖いだろう。


そんな状況を繰り返し繰り返し行えば、聖騎士団の団長といえど、

臆病になるのはしょうがない。

むしろ、ギルバルトだから、アタックアイにならなかったとも言える。


「大体、攻略ギルドからデュエル大会に出るなんて、前代未聞だぞ。」


「仕方がない。誰もあれは止められない。」


「まあいい。どのみちカラットには勝てないだろう。」


「恐らく。」


ギルバルト、シンゲン、カラットはβの時からの付き合いだった。

正確には、ベルラインも含まれ、あと1人も。


「それで今日はどうした。泣き言を言いに来たか?」


「いや、ちょっとした計画があってな。」


「機密事項か?」


「ああ、お前が気に入らなければ断ってもいいぞ。」


そうして両リーダー二人だけの機密会議が行われた。


「問題無い。うちのギルドからも有志を集めておく。」


「くれぐれも内密にな。」


「わかってる。」


こうして、とある計画は、着実に進み始めた。

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