第102話 改めて

 ゲオルグ達が居た観覧席にの奥には、出入りする大扉の他にもう一つ扉が設えてあった。その扉の先は結構な広さのホールとなっている。特に変わった所は見受けられず、観覧の合間に歓談などを行なう様な場所だと思われたれた。

床にはフカフカした絨毯が敷き詰められ、さり気無い調度品がある程度である。

だが、この部屋にはもう一つの目的が隠されていた。


ゲオルグは皆を皆が入室した事を確認すると、アイギスへと視線を向けながらみなへと声を掛ける。

神聖なる駆動体アルカナ・エンジンの確認も済んだこと、相談すべき相手も全て揃い、あの場所で確認すべき事はもう無い。 此処から先は別の場所にて今後を話したいと思う 』

ベアトリス・ノリス・ペンドラゴン、天狼星シリウス唯一の聖戦士ハイランダーの乱入の騒動も落ち着き、会談の場所を改める事にしたのだ。


アイギスが皆へと言葉を掛ける。

『皆様、暫しお待ちください。 ここから飛びます・・・・ゆえそのままでお願いします 』

床には絨毯が敷かれただけで魔法陣の様な物は見当たらない。 天井も特に変わった所は無かったのだが、アイギスの言葉と共に視界が暗に閉ざされた。

『行きますぞ 』

皆の立っていた場所が突然入れ替わった様な錯覚をおこした。 いや、場所が入れ替わったのか? 自身が移動したのか…… 。

ノリトであっても、位置情報が曖昧になります、どちらかが判断付きかねる状況であった。

ノリトは辺りを見回す・・・、特にこれと言って変った風では無い。

だが、先程のホールと同様、特に変わった所はないのだが、先程の場所とは確かに・・・違うようだ。

先程と同様のホールと円卓が置かれた二室が続いている。

円卓と表現したが、中央には天板は無く、その中心には淡く光を放つ球体が浮かんでいた。

恐らく王が座るであろう椅子の背面、その壁にはこの国の王国旗が掲げられており、円形のテーブルには十二個の椅子が等間隔で置かれている。

ゲオルグは己が席へと着座すると、アイギスが皆に向かい着座を促す。

『皆様、お掛け頂けますかな 』

そう言って頭を垂れる。

この場所には、当然だが一刀とベアトリスも同席している。

一刀の仲間は闘技場に潜伏し待機しているので唯一人である。単身で味方であるかも判らぬ初見の者と、見知らぬ場所へ行くことに危機感は無いのだろうか? と思われるだろうが、唯一の聖戦士ハイランダーである事は「その様な場面でも問題は無い」のだ。先程のベアトリスの行動で判るように結界等は無いに等しく、行きたい場所へと踏み込む事も脱出する事も可能だからだ。

ただ一言、念じ命令すればこの場所へ顕現する神騎。

神聖なる駆動体アルカナ・エンジンとは、場所に縛られる事は無いといわれている。そしてもう一つの事実が「己が命に危険は無い」という事である。神聖なる駆動体アルカナ・エンジンと契約した唯一の聖戦士ハイランダーは命を落とす事は無いと言われている。怪我をしようが、腕が捥げようが神騎の恩恵により再生されるのだから。それも唯一つの例外を除いてなのだが、その事を知る者はこの世界には居なかった。

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