第35話  シャルルの事だな。 それと、二人の母についてか 

『……そうか。 シャルルの事だな。 それと、二人の母についてか 』


「はい、お聞かせ頂けるのであれば 」


『陛下…… 』


『ここは、他者からの防聴は問題ないのであろう? 』


「はい、この建物は外からの盗聴を受け付けない構造になっております 」


『ふむ、話しても良かろう。 それに…… もしも 

いや、希望は抱くまい。 ノリト殿は医術師では無いのだからな…… 』


「……陛下? 」

医術師という者がいるのか


『ノリト殿、話をする前に、水を頂けるかな? 

少し喉が渇いてしまったようだ 』


「では、すぐにお持ちします 」

ノリトは支度のためと装い、わざと席を外した。

恐らく、アイギス殿と話をするのだろう。


『陛下、宜しいのですか? 』


『御祖父様…… 』


『八方手を尽くしたが、一向に良くならぬ…… 

ノリト殿の世界の知識、縋ってみようと思う 』

今のままでは長くはなかろう。

父に続き、母までもとは…… 不憫でならぬっ!


    ◇    ◇    ◇    ◇


「お待たせ致しました。

こちらをどうぞ。 お飲み物と、冷たいアイスと言う氷菓子の様な物です 」


『ほう! 氷菓子と…… 頂くとしよう 』


「あっ、失念しておりました。

毒等は入ってはおりませんが、毒見が必要でしたか? 」


『ほっほ、その様な気遣いは要らぬよ。 

ノリト殿とは僅かな時間だが、信頼に値する御仁と考えておる。

それに、我らには毒は効かぬしの 』


「信頼に値する働きが出来れば良いのですが。

ところで、毒の無効化アイテムがあるのですか? 」


『そうです、毒が体内に入ると魔法が起動して体外へと排出するか、無効化されますので 』


「毒とは…… 全ての毒に対してですか? 」


『全てとは? この世界にはそれ程多くの毒は存在してないのですよ。

その全てに対しての、対抗魔法ですな 』


何か引っ掛かりますね…… その辺も調べる必要がありますか。

「ああっ、溶けはじめましたね! 先にお召し上がり下さい 」


『おお! では頂くとしよう 』

三人はスプーンを持ちアイスを一掬いし、口へと運んだ!?


『『『……!?  』』』


『冷たくて』

『口の中で、蕩け』

『これは美味しいのぉ! 』


「お口にあって良かったです 」


『ノリト殿、先程の話だが良いかな 』


「はい、 」

ノリトはゲオルグ王の言葉を待つ。


『先ず、シャルルの事なのだが……

ノリト殿にはどの様にみえておるのか、お聞きしても良いかな? 』


「そうですね。 

違和感は、はじめからでしょうか。


私はこの様な身体ですから、どちらかと言うと騎士団長の様な対応をされる事が多いのです。

しかし、皇女殿下は違っておられました。

最初は違和感だけでしたが、ミオとの遣り取りから確信を持ったのですが。

まるで…… 違う姿を捉えているのでは無いかと 」


その言葉に、王は瞠目した。 

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