第28話 ノリト様、こちらで如何でしょう?

 シャルルに案内されて、中庭にやってきた。

『ノリト様、こちらで如何でしょう? 』


「広さは問題ないのですが、 芝生を傷めてしまいそうなので、あちらの端の方をお借りできますか? 」


『はい、お好きにお使いください 』


ノリトは一人その場所へと移動し、ユニットを出せるスペースを確認すると、時空庫バンカーよりバスユニットを取り出した。


大きさは大型バス2台程度はある、と言うのもバスユニットには浴室が二基設置されているからだ。

男女別々に入浴が出来るように、配慮されているからであった。

休憩場所は兼用だが、脱衣所と洗い場に浴室は別で、屋根部分は任意で開閉が可能になっていた。

 当然、内部には錬成装置が組み込まれ、室内の空調に湯の過熱や加温は基より、排水なども錬成処理で返還処理を行い、燃料や水を作り出し貯蔵している。

床下は大型の貯水タンクを内蔵しており、再生循環処理を行っているため、基本的に補充の必要は無い。

使用される水が無くなる事は無く、常に大気中より錬成して補充を行なっていた。

また、各種の薬湯や温泉も再現可能だった。

大型の湯船が二種類あるので、数種類の湯を楽しむ事も可能である。


そのバスユニットの外観にシャルルは感嘆の声を上げる

『これは…… なんて滑らかで、美しい光沢を持っているのでしょう。

表面は星の光を反射し宝石の様ですわ 』


「シャルル皇女殿下、中を見てみますか? 」

ノリトが尋ねる。


シャルルは、メイドを伺い耳元へコソット言葉を告げた。

メイドは一礼すると、何処かへと急ぐ。


『是非、お願い致します。 今、湯浴みの用意を取りに向かわせました 』

シャルルは目を煌かせ、バスユニットを眺めた


「ミオ、ご案内差し上げてくれ。 私はメイド殿をここで待つ 」

「(おい、判っているとは思うが、無茶をするなよ!! ) 」


「(了解でありますにゃ!) 」

ノリトはミオへと指示すると、内部へとシャルルを案内した。


「シャルル姫様、こちらで履物を脱いで頂けますか?

私達の国では、居室へと入る際には履物を脱いで、素足か布で出来た履き物へと交換します。」

シャルルは促され、ミオに倣って靴を脱いだ。

この世界にはストッキングと言う物は無いようで素足になった。


『ひゃぃ! なっ、床が暖かいのですが!? 』

床の暖かさに驚いたようだ


「床暖房……ええとぉ、床が冷たくないように、温水を循環させて暖められておりますので、湯上りに身体が冷える事は無いのですよ 

此方がラウンジで、湯上りに寛ぐ場所ですね。

冷たいお飲み物や、マッサージ機能の付いた椅子などもあります。 」


『凄く、造りが簡素ですが、 緻密な設計だと判る佇まいですね。

テーブル一つとっても、職人の方の技術力の高さが伺えます 」

シャルルは過渡な装飾は無いものの、作り手の技術力に驚きを隠せなかった。


「そうですか? 此れはノリトが造ったのですよ 」

ミオはさらっと言い放った


『へ…… 、はい? これをノリト様が? 』

驚きから変に反応してしまったシャルル


「シャルル皇女殿下、 私が設計から生産まで行ないました 」


『ひゃいぃ!? 』

突然のノリトの返答へシャルルはビックリした


「すみません。 驚かせてしまいましたか? 」


『だっ、大丈夫です。 

それにしても…… お強いだけではなく、物造りの腕に想像力と……

ノリト様は凄い方なのですね 』


おやぁ!目が……

「ふふふふふっ! ノリトキュンは凄いのですよぉ 」

ミオが悪乗りしている


「おしゃべりはその位にして、浴室へとへ後案内しろ!

侍女殿、もそちらへ 」

先程のメイドとは違い、シャルル傍付きの侍女と交替していた


そういってミオを促すと、浴室へと3人は消えていった。


「やれやれ…… 」







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