第20話 両者、戦闘を開始せよ!! 

 ゲオルグ王が模擬戦闘の開始を宣言する。


『時間となった! 両者、準備は良いな!

では、戦闘を開始せよ!! 』


 騎士団長の号令の元に、重装歩兵密集陣形ファランクスがユックリと前進する。

「ゆくぞ! 敵は能無し一人! 」

「陣形を維持し、前進! 」

「目標までの距離確認…… よし! 」

「一列! 砲撃せよ!! 」

雷弾・亀ライトニング・タートルは身震いをすると、咆哮を上げるが如く雷撃を投射した!


「さて、 雷撃? でしょうか。 これは好都合です 」

ノリトは、そう呟くと雷撃の防御を命じる


「我が進軍を阻む雷撃を砕け! 」

六翼に分離していたソードバインダーは、ノリトの前面へ六枚の花弁の如く展開する。


雷弾・亀ライトニング・タートルより放たれた、雷撃を纏う咆哮が、ノリトへと殺到する。

着弾するかと思われた瞬間、騎士団長は目を疑う光景に叫んだ!


「なぁ! なぜっ! 雷撃が砕け散る!? 」

ソードバインダーの防御により、雷撃は接触した瞬間に吸収されたのだ。

その現象は、あたかも雷撃が砕けた様に見えた……


「ふむ…… 」

ノリトは分析する。


「同じ雷撃でも、こちらの方が一発に込める出力は高いようだが。

それに、魔力の弾頭に雷撃を纏わせて発射、弾着と同時に魔力が四散する構成。

魔力が雷撃を纏って四散する事で威力を拡大すると。

推進力は? 魔力そのものか。

射程は短そうだが…… 曲射ができるようだな 」

曲射を駆使すれば、良い勝負になると思うのだが、何より雷撃の威力が弱い。

人間同士の戦いなら効果が見込めるとは思う……


「ええいぃッ! 一列目より三列目、順次砲撃を叩き込め! 」

五人X三列の砲撃が次々とノリトを目掛け殺到した。


ノリトはそれを眺め、

「もしかして、アレは切れますかね? 」

そう呟くと、虚空より双剣が現われた。

名をアロンダイトと言う。

それを両の手で掴むと、切っ先を下げたまま、ゆっくりと前進する。


十五発の雷撃が次々とノリトへ迫り、弾着……

『ノ、ノリト様ぁ!! 』

シャルルがその瞬間を想像し、両の手で顔を覆う。


ノリトは迫り来る魔法弾へと視線を向けると、双剣アロンダイトを振るい雷撃を切った!?

『ばかな! 魔法弾を剣で切りつけるとは!! 』

アイギスが驚愕に目を見張る


『なぜ爆発しないのだ!?? なぜ…… 』

ゲオルグが疑問を投げかけた


『まっ……まさか!? 魔法が視えているというのか!? 』

アイギスが震える声で呟いた


『どう言うことだ? 視えるとは 』


ゲオルグの問いにアイギスが答える

『あまり一般には知られてはいないのですが、魔法と言う物にはというものが御座います。

とは、魔法の構成を記述したものでして、人の目では視る事はできません。

しかし、を破壊する事が出来れば…… 魔法自体を無効化する事ができるのです。 


戦場で極稀にですが、魔法が不発になる事があるのです。

それは、偶然にを破壊した事で起こります。

恐らくですが、ノリト殿はが視えるのではないかと…… 』


その遣り取りを傍で聞いていたミオが、

「う~ん。 そうですねぇ。 私にも視えますよ 」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る