第18話 騎士団長は騎士達へと指示を出す。

騎士団長は騎士達へと指示を出す。


 全面を重装歩兵が装備する大盾シールドで防御、二列目から四列目には雷弾・魔槍ライトニング・ランスを装備していた。


「奴は金属で出来ていると予想される。

砲撃は雷弾・魔槍ライトニング・ランスにて行なう。 

砲手はマナ切れに注意し、適時マナを回復する事!」

ただ、通常の密集陣形では前面に防御を展開するのだが、この騎士団長はそれほど馬鹿では無いらしい。


「三小隊 各五名は右翼側面、左翼側面と上面を大盾シールドで防御せよ。

どの様な攻撃が在るか判らん! 魔法が使えぬ無能だが、侮って破れるなど許さんぞ!

皆、心して掛かれ! 」


 特殊な重装歩兵密集陣形ファランクスで、雷弾・亀ライトニング・タートルと呼ばれる砲撃陣形になる。

前面に攻撃力を集中した戦闘隊形で移動砲台と化す。

また、前方と両側面を防御する形態で、攻撃と防御をバランス良く行なえる利点があるのだが、移動速度も亀の様に鈍くなると言う欠点がある。

大盾シールドも特殊な物で、上部中央には溝があり、雷弾・魔槍ライトニング・ランスを固定出来る機構を有し、両手で保持する事を容易にしていた。


遠くから眺めていたミオはおや? と思う。

「あちゃ~! こりゃ早めに決着だねぇ! 」


『ミオ殿、それは何故じゃ? あの形態は中々に防御が固く、火力もあるのだがな? 

それに、ノリト殿もミオ殿あれは始めて見る物であろう、相手の攻撃の予想ができるのかな? 』

ゲオルグ王が疑問を投げかけた


「陛下、 簡単な事ですよぉ。 この世界には、魔法があるのですよね。

そして、あの密集陣形ファランクスは私達の世界で大昔・・にはありました。

しかし、現在はありません。

その理由を知っているからですよ 」

ミオがゲオルグへと答える


『ミオ殿、大昔ですか? 今は何故使われないのでしょうか?

お教え願えますかな 』

アイギスがミオへと答を願った


「簡単な事です。 基本形から派生した形態も幾つかは在ったのですが、移動速度が遅いため小集団での散開白兵戦術に敗れたのです。


それに、威力のある遠距離攻撃により、意味を成さなくなったからですね。

考案された時代には弓はありましたが、高威力の砲弾がなかったのですよ。

後に、遠距離攻撃の可能な兵器が登場すれば必然的に廃れていきます。


でも、あの槍が肝でしょう? 恐らく砲撃ができる物。 

この世界には魔法がありますからね。

そう、読んだのですが、間違ってますか? 」


『その通りだが、その様に遠距離攻撃の可能な武器が、お二人の世界にはあるのですか? 』

アイギスは冷や汗をかきながら質問する


「ええっ、 ありますよ。 多分ですが、ノリトは使うんじゃないかと……

ただ、威力は落とすと思いますが、気絶はするでしょうねぇ 」

ミオがニヤッと笑いながら答えた


ゲオルグとアイギスはお互い見詰めあい、溜息をついた。

これは、後が色々と大変だ……と

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