第20話 凄いな、世界地図!
要さんは世界地図と唱えると、空中を見つめて固まってしまった。
俺達には見えない何かを見ている。どうすればいいのかわからないといった様子だ。
「えっと、今出しているんですけど……視えていない、ですか?」
『見えん』
「えっ?! 出てるのか? どこだ?!」
要さんが中空を指さすのだが、どうやら本人にしか見えないようだ。
バルトヴィーノががっくりと肩を落とす。
「それは、どんな感じで見えているんだ?」
「ん? 普通に、大陸があって、周りが海で……今俺達どこにいるんだろ……あ! 何かアイコン出た!」
1号が聞くと要さんが見えているものを説明しようとしてくれるのだが……この世界の人間は海を見たことが無いし、俺が見たの同様海と見せかけて暗黒破壊神の領域かもしれん。くそ、俺にも見えたらな……。
そんでもって要さん、1号相手だと敬語じゃなくなるんだな。
「アイコン出るのか。拡大して詳細見るとかは?」
「……できるね」
できるのか。これで俺達にも見えれば1号がわざわざ地図に起こさなくても済むんだがな。
「じゃあ、例えば香月の位置が解ったりとか?」
「え……? あっ! 何か別の色のアイコン出た!」
おお、凄いな、世界地図! 探索の役割も果たすとは、万能じゃないか。
要さんが地図に記された地名を読み上げる。と、どうやらアスーにいるらしい。要さんが何か言いたげにチラっとこちらを見てくる。
『心配なのはわかるが、ダメだ。先にオーリエンに行く』
「ええと、ですね。オーリエンには強制的に隷属させる禁呪があるそうですの。早急に勇者様方を救出して、もし隷属されていたならそれを解呪しないといけませんわ。自分の意思を奪われたままというのは、あんまりですもの」
俺の言葉を補足するように、ルシアちゃんが言う。既に半年経ってしまっているから今更だけどな。
だけど、こればっかりは仕方ない。俺はルシアちゃんがそっちに向かっていると思ったからノルドに来て、ルシアちゃんはルシアちゃんで国王の命令でこっちに来たんだから。
隷属という言葉にショックを受けたようで、オーリエン行きに賛同してくれた。本当はいち早く自分の子供を助けたいだろうに。
出来れば心身無事に日本に帰してやりたいという想いは一緒なのだ。
その日一日、馬車の中で要さんのスキルの検証をしながら移動した。試しに他の勇者や暗黒破壊神の居場所を調べてもらったが、認識したことのない相手は反応がないらしい。
逆に言えば、一度でも邂逅してしまえばどこにいるか常に調べられるってことで。これはかなりの武器になるのではないだろうか?
『要、次からは金曜日の夜に来い』
「え、あ、はい。わかりました。次持ってきて欲しい物はありますか?」
要さん、マジ良い人! 俺達は遠慮なく生鮮食品をおねだりした。
ついでに、馬車内の物資の確認をしてこちらで調達できるものの確認をしていく。
結果、次は食用油を何種類か持ってくると言っていた。これで料理の幅がまた広がる。とても楽しみだ。
食べ物の威力というものは恐ろしいもので、要さんは俺達全員の胃袋を見事に掴んでしまった。要さんは俺達の中の誰よりも料理上手だったのだ。
調味料をふんだんに使えるっていうのもあるが、食材の組み合わせや加熱具合で旨味を最大限に引き出すのだ。きっと日本では料理人に違いない、と言ったらただの病院勤務の事務員だと言われた。
そうして、日も暮れる頃、パトゥリモーニオとプントの中間地点で野営となった。
この日の夕食は玉ねぎと1号の卵とじの中華風スープに、固パンを薄くスライスしてベーコンエッグを乗せた野営とは思えない豪華なメニュー。
作る時に、ちょっと大騒ぎしたけど。そういや昼間は1号使わなかったな。
「ほら、要」
と1号が無造作に自分の体を裂いて渡すもんだから、要さんってば楓が死んじゃうって傍から見てて面白いくらいパニくってた。
食べるときも、1号の姿そのままなきのこにだいぶ躊躇してたっけ。
そんな感じで大騒ぎしながらの食事を終えると、要さんは生徒の遺体を差し置いて自分が帰ることを申し訳なさそうにして日本へ帰った。次に要さんが来るのは五日後か。
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【ステータス】
名前 : リージェ
レベル : 26
EXP : 147,842/425,750
HP : 8,700/ 8,700
MP : 11,742/ 11,942
Atk : 13,949
Def : 5,825
スキル : タリ―語
我が劫火に焼かれよ Lv.5
血飛沫と共に踊れ Lv.5
全てを見通す神の眼 Lv.3
念話 Lv.3
我を害さんとする者よ、姿を現せ Lv.1
反転せよ Lv.3
天罰 Lv.2
死にたい奴だけかかってきな Lv.1
水よ、集いて俺様の命に従え Lv.1
称号 : 中二病(笑)
害虫キラー
農家
ドM
聖竜(仮)
黒の使徒(仮)
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