少年期[365]何時か絡む
「・・・・・・はぁーーーー。妙に疲れた」
「はっはっは、お疲れ様ってところだなゼルート」
「おう、なんか何時もと違う事・・・・・・というよりやった事が無い内容だったからな」
最後の演習日が終わり、先生達とゼルート達は最後の宴会を楽しんでいた。
その中でゼルートは料理をガッツリと食べ、この面子で飯を食べるのも最後と言う事で少しだけ酒を飲んでいる。
「そうかそうか、ゼルートはあまり護衛の依頼を受けた事が無いのか」
「そうですよ。ボウドさんは結構受けてたんですか?」
「いや、俺もまだ冒険者になってから数年ぐらいの期間はあまりそういう依頼を受けようとはしなかったな。やっぱり護衛をする商人や貴族によって問題が起きる時はあるからな」
それは絶対に避けられない道だ!!! そう言わんばかりにボウドの表情は真剣であり、何度も頷く。
「だが人付き合いがある程度慣れてくるとそう悪い仕事でも無い。そこで出来る縁ってのもあるからな」
「縁ですか・・・・・・それは大切ですね」
縁と言う言葉を聞いてゼルートはアレナを助け、ミーユと知り合う。そしてその結果セフィーレの護衛依頼を受ける事になったのを思い出す。
「だろ!! まぁーーー依頼とかで出会った人とその後も出会う事があるかといえばあまりないんだけどな」
「私はまだまだこれから先が長いからボウドの言う縁を大切にしていきたいところね」
長寿なエルフであるフーリアにとっては人生はまだまだ始まったばかりと言える。
なのでボウドの言う縁に対して今後どういった流れで絡まって来るのか楽しみにしている。
「そういえば、臨時教師としてうちの学校に来てくれるって本当か?」
「一か月間ぐらいですけど、期間限定で良いなら。とは言っても、直ぐには無理です。後一年ぐらい経験を積んでからですね」
「一年か・・・・・・まぁ、流石に今すぐは早すぎるよな。それじゃあ、それぐらい月日が経ったら指名依頼で臨時教師を頼むぜ」
「分りました。それまでにはもう少し冒険者らしい話が出来る様になっておきます」
ゼルートからの返答にボウドは思わず小さく笑ってしまう。
(心配する所が冒険者としての実力では無く冒険者らしい話が出来るかどうかか・・・・・・普通なら何言ってんだこいつって話なんだろうが、ゼルートの実力なら全く問題ないだろう)
生徒達には一切実力を見せる事無く圧勝し、護衛中にも生徒達に怪我を負わせる事無く依頼を達成した腕前にその普通とはずれてしまう言葉の中に確かな自信が見えた。
「ゼルートは案外教師に向いてたりするのかもな」
「かもしれないな。相手に何が足りていないのか。そういう事を見抜くのが得意そうだ」
デックとソンはゼルートが教師に向いているのではと言うが、そんな事は無いとゼルートは首を横に振る。
「ないな。俺が教師に向いてるとかない。相手に何が足りてないのか解るのは単純に俺がが出来ている部分を相手が出来ていないから直ぐに指摘できるだけだ」
子供が嫌いな訳では無いが、年頃な年齢である子供・・・・・・特に学生はあまり好きでは無い。
(俺は基本的に陰キャ寄りだったから陽キャの気持ちは解らんが、あいつらあんな小さい世界で陰キャを下に見様って傾向があるからな。性格も性別もバラバラな子供が一つの部屋の中で仲良くしろってのが無理な話ってのは分かるが、しなくて良い事までするんだよなぁ・・・・・・悪い意味で)
この世界では前世よりも明確的にそれぞれの格差があるため、陽キャによる悪い行動が過激。
実際ゼルートはそれを目にした訳では無いが、五歳の時のパーティーを思い出す限り碌でも無い奴がいるのは確かだと解っている。
「年頃の子供は色々と面倒だから頑張れよゼルート。特に貴族の子供はな」
グレイスの体験談から出る言葉にゼルートは確かな重みを感じた。
「忠告感謝します。まぁ・・・・・・なるべく手が出ない様にだけは気を付けます」
ゼルートの最後の一言に全員が噴き出して笑い出した。
こうしてゼルートの二回目の護衛依頼は終わった。
いずれは臨時教師としてリル達が通う学校に依頼として王都に向かうだろう。
そう思っていたゼルートだったが、別件で意外と王都に向かう日は近かった。
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