「紫電の刃・・・・・・ですか」

「おう。まぁ名前に少し疑問を感じるかもしれないが、つまり名前通りって事だ」

紫電という言葉からゼルートは目の前の短剣から繰り出される雷がどういったものなのかを予想する。

(・・・・・・多分だけど刃の部分から普通の雷も出せるとは思う。けど、普通の雷とはまた違った効果を持つ雷を出せるって事か？　ただ単に身体能力向上されるとかだったら紫電じゃなくて雷光みたいな名前でも良い筈だよな)

一先ず短剣を手に取ろうとしたゼルートにマグラスが待ったの声を掛ける。

「そいつは自身の魔力を流してようやく扱える武器だ。持ち主の魔力を注ぎ終わった後に別の人物が使おうとしたところで鈍らにしかならい。というか持ち主以外の誰かが持てば短剣から紫電が流れ出る仕組みだ」

「それは・・・・・・随分と良い効果ですね。防犯対策もばっちりじゃないですか」

「非常に強力な武器だからな。もし盗られる様な事があればその力が自分に向く可能性もある。その辺をどうにかできないとエルフの奴頼んだんだよ」

ある一線を越えた強さを持つ人物ならどんな武器であろうとある程度の理が解り、目の前の短剣もそこそこ自在に使えると思っているので、ゼルートとしてはとても有難い防犯対策だった。

「本当に有難うございます。それじゃこれが報酬の酒とシャンパンです」

ドワーフであるマグラスには最高級のスピリタスとバルカンが入った瓶を十本ずつ。

錬金術師であるエルフにはマグラスと同様の最高級のシャンパンを二種、十本ずつを渡した。

「こっちの二十本がマグラスさん用の度数が高い酒で、こっちの二十本が錬金術師のエルフさん用の高級シャンパンです」

「うん、確かに受け取ったぞ。しかしシャンパンという酒？　の名前は初めて聞いたな」

マグラスのシャンパンを知らないという言葉を聞いて、ゼルートはやらかしてしまったと思ったが時既に遅し。

(・・・・・・・・やっべーーーー。この世界にはシャンパン・・・・・・っていうより炭酸っていう物はないのかもしれないな。もしそうならばドワーフであるマグラスさんがシャンパンを知らないのも納得できる)

どんな言い訳をしようかと考えること約十秒、ゼルートはマグラスが納得できるほど言い訳を思い付かなかった。

「えっと・・・・・・・・・・・・その辺りは個人的秘密と言いますか、検索しないでくれると嬉しいです」

「・・・・・・はっはっは、そうかそうか。それならばこれ以上検索するのはやめておこう。せっかく良い酒を暮れるって言うんだからその辺は気にしないでおこう」

「有難うございます。それと、エルフさんにそのシャンパンを渡す前に摘み飲みしたら駄目ですよ」

「・・・・・・・・・・・・うむ、分かっとる」

マグラスの余りにも長い間にゼルートは転びそうになった。

(酒好きのドワーフだからもしかしたらと思っていたけど、まさか本当に摘み飲みするつもりだったなんて。まぁ、取りあえず俺は報酬である酒を渡したんだから後の事は知らん)

造って貰った紫電の刃が入っているケースをアイテムバッグの中に仕舞い、マグラスに礼を言ってからゼルートは泊まっている宿へと戻る。

そして夕食の時間になり、セフィーレ達楽しみながら最後の食事を楽しんだ後、三体いる従魔の内の一体であるリザードマンの希少種、ゲイルから全く予想していなかった報告が届く。

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