少年期[210]足場がないなら作ってしまおう

戦闘が始まってから約五分間が経ったが、セフィーレ達はジェットイーグルに中々攻撃を決められないでいた。

瞬時加速という初速から最高速度に入ることが出来るスキルによって、狙いを定めても攻撃が躱されると言うのもあるが、最大の原因はジェットイーグルが常に、空を飛べることにあった。


ジェットイーグルと同じ高さまで飛ぶことは出来ても、攻撃は簡単に避けられ背中を追うことが出来ない。

魔法を使おうとしても、詠唱を始めた時点でフェザーラッシュが放たれ、妨害されてしまう。

仮に仲間に守ってもらい、魔法を使うことが出来たとしても、ほとんど当たらない。

セフィーレが放つ風魔法は当たりはするが、決定打にならず、大きなダメージを与えられないでいた。


そしてたった五分間とはいえ、急加速するジェットイーグル相手に常に気を張りながら戦っているセフィーレ達は体力と精神力、どちらも消費していた。

そこまで動いていないリシアでも額に汗が多く出ていた。


後ろでセフィーレ達の戦いの様子を見ていたアレナは、ゼルートに助け舟を出さないのかと聞いた。


「ゼルート、このままじゃセフィーレ様達負ける事は無いと思うけど、中々決着が着かないわよ」


「確かにそうだな。ん~~~~、でも俺が直接ジェットイーグルに手を出すのはダメだからな。どうしようか?」


ゼルートは最初にしたアドバイス以外は、何も口を出していなかった。

もう少し考えて動けば、セフィーレ達がジェットイーグルに決定打を与えられないこともない。


(セフィーレさんだけジェットイーグルの視界から外れさせるため、ソブルさん達が頑張ってジェットイーグルの意識を引き付けて、セフィーレさんが死角から魔法を放ってば決定打になって地面に落ちる。その時を狙ってボコボコにするって方法。後は、見た感じ瞬時加速を使った直後は直ぐに止まれないみたいだから、その瞬間を狙って攻撃をするとかでも決定打は与えられると思うんだけどな。まぁ、第三者の視点から見てるから、色々考えが出てくるだけかもしれないけど・・・・・・あれだな。セフィーレさん達には参謀的な人がいないんだな。そこら辺、後で進言しておくか。取りあえず、今の状態を何とかしないとな・・・・・・)


ゼルートは十秒程考え込むと、良いアイデアが思いつき、直ぐに実行に移した。


「とりあえず良い案が出たから、直ぐにやってみる。全員、少しだけその場から動かないでください!!!」


ゼルートの声を聞いた五人は、反射的に指示に従い、動きを止めた。

その隙を見逃さず、突っ込んで来ようとするジェットイーグルだが、ゼルートが散弾銃型の速度が遅めのブレットを放ち、牽制した。


「アースクリエイション」


ゼルートが魔法を唱えると所々に人が一人、飛び乗れるほどのスペースがある、台がくっついている岩の柱が多数出来た。


「それを足場にしてください!!」


ゼルートの言葉に意図を直ぐに読み取った五人・・・・・・正確には四人が行動に移した。

ゼルートが多数の岩の柱を作ったのを見たアレナはとルウナはなれてはいるが、どこか遠い目をしていた。


「相変わらず本当に非常識ね、ゼルートは」


「魔法が苦手な私でも解るぞ。詠唱をしてならまだしも、無詠唱でこんな数の岩の柱を作る事なんて、普通は無理だ」


「・・・・・・そこは、ほら。あれだよ。長年の努力の結果だ。言っただろ、まだ本当に子供の頃から練習してたって。それに俺、次男だったからほとんど勉強したりする必要がなかったんだよ。だから余計に時間があったて訳だ」


「「それがまず普通じゃない(のよ)」」


(ですよね~~~~~~)


自分でも己の力を異常だなと思っているが、後悔は全くしていなかった。


ゼルートが岩の柱を作ってから、形成は少しづつ逆転し始めた。


足場が出来た事により空中で動けるようになったセフィーレ達の攻撃は、段々決まるようになった。


セフィーレの刺突が、カネルの大斬が、ソブルの斬撃が、ローガスの突きが着々とジェットイーグルにダメージを与えた。

それに加え、ゼルートが作った岩の柱により、ジェットイーグルは迂闊に瞬時加速を使うことが出来なくなった。

使うと岩の柱に激突してしまう可能性があるため、岩の強度が分かったとたんジェットイーグルが瞬時加速を使い回数が極端に減った。


そして、スピードが落ちて来たジェットイーグルを狙って、セフィーレが岩の柱を上手く使って視界から外れ、上から脳天めがけて、風の魔力を纏った突きを放つ。

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