少年期[206]油断大敵?

ゼルート達は少し行進のペースを上げることで、太陽が沈む前に二十階層のボスの部屋の前までたどり着くことが出来た。


途中、ソブルの気配感知の範囲外から急速に飛んできたバインドキャットとウッドモンキーの上位種数体から奇襲を受ける。

猫特有の反射神経の良さで攻撃を躱し、背骨を丸めて一気に伸ばす事で出る瞬間的な速さによりEランクの魔物であるバインドキャットの上位種に対して、ソブル達の攻撃は中々当たらなかった。

それどころか規模は小さいが土の拘束魔法を使い、ソブル達を転ばせていた。


セフィーレは反応速度が速いため転ぶ事は無かったがソブルとカネル、リシアにローガスは面白いくらいに転んでいた。魔法の規模が本当に小さいためか、魔法を使うために立ち止まる必要がない。

そのため、ソブル達にはEランクの中には収まらない速さで動きながら魔法を使うバインドキャットがどこに、いつ魔法を使って来るか予測しずらかった。


勿論後ろでその様子を見ていたゼルート達は周りから他の魔物が寄ってこないか、警戒しながら笑っていた。

セフィーレ以外、面白いほど転ぶのでゼルート達の笑いが止まる事は無かった。


だが、戦闘中のセフィーレ達は他人の転ぶ様を笑っている余裕はなかった。


片方の相手は反応速度が思ったより早く、自分の攻撃が当たらない。そしていつ来るか分からない、土の拘束魔法での転倒。そこから襲い掛かって来る通常のウッドモンキーより体が二回り大きく、の長さが一点五倍程ある上位種。

上位種と言ってもランクは高くなく、Dランクに足を踏み入れたと言った所なので力はそこまで強くはないが、跳躍力がソブル達の予想を超える物であり、ヒットアンドウェイを繰り返すことで、ウッドモンキーの上位種は序盤、ほぼ無傷の状態だった。


そういった事もあり、ソブル達は途中から無駄な動きをしようとはせず相手の動きを観察、予測することに専念した。


そして、動きがある程度分かったところで、時間に余裕があったので、しかっりと足と武器にだけ魔力を纏い、バインドキャットとウッドモンキーの上位種の動きを予測し、動きに合わせて攻撃を繰り出すことで無事討伐に成功した。


ちなみにセフィーレ以外は、転びに転んだ結果、かなり土塗れになっていた。

そんなソブル達にゼルートはさりげなく合掌した。



「よし、明日に備えて今日はここで野営をしよう」


セフィーレの掛け声とともに、ゼルート達は野営の準備を開始した。


「いやーーーまさか、魔物とは言っても、猫と猿相手にあそこまで苦戦するなんてな・・・・・・何回転ばされたか覚えてないな。まぁ、相性で言えばカネルが一番悪かったか?」


ソブルの言葉にカネルは、不機嫌そうな顔のまま答えた。


「・・・・・・ああ、確かにそうだな。私自身スピードがない訳では無いが、武器での攻撃パターンが大雑把な故、猫の魔物からしても動きが読みやすかったのかもしれないな。はぁ~~~-、流石に気分が沈むよ」


「だ、大丈夫ですよカネルさん!!! セフィーレ様とゼルートさん達以外は、皆転んでいますから!!」


(り、リシアさん・・・・・・それは大丈夫って言いませんよ)


リシアの天然発言に、ゼルートは顔に出さないように笑っていた。


(まぁ、それにしても面白いものが見れたな。規模が小さいって言っても、ありゃ立派な並行詠唱だ。でも、アースバインドって言えるほどの物でもないんだよな。本当に魔力を介しただけで、魔法を発動したってわけでは無いのか? それなら、あれくらいの速さで動きながら、足に土の魔力を込めて拘束できるのも納得できるな。ウッドモンキーの上位種は、ヒットアンドウェイに味を占めていたからか、木の魔法は使ってこなかったな。でも、あの腕の長さが一点五倍ほどあるのは、結構厄介そうだったな。まっ、とりあえず面白い物が見れたし、今日は中々楽しめたな)


上機嫌なゼルートは鼻歌を歌いながら、アイテムボックスから夕食を取り出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます