少年期[203]先輩冒険者の知識

「オーガの上位種が強いってのは父さんから聞いてるけど・・・・・・厄介ていう程の強さなのか?」


普通のオーガと戦った事が既にあるゼルートは、上位種であったとしても、そこまで苦戦するような気はしなかった。


(まぁ、成長した奴、希少種にキング種ってのが来られたら本当に話は別だけど。流石にそれは・・・・・・ないよな? ダンジョンがいくら予測不可能でも、そんないきなり段違いの強さの魔物が出るってことはあり得ないよな?)


ダンジョンでは何が起きてもおかしくはないと、頭に入れ込んでいるゼルートは少し不安になって来た。

だが、アレナの答えはゼルートが考えている物とは違った。


「そうね・・・・・・理由はいくつかあるわ。まずはここがダンジョンだと言う事。ゼルートもルウナも分かっているとは思うけど、ダンジョンの中の魔物は躊躇いが、怯えがない。動きの思いっきりが良い。だから地上のオーガの上位種と比べて強く速く、堅い」


アレナの言葉に二人はとりあえず納得し、頷いた。


「確かにな・・・・・・ランクがBに近いか、もしくは足を踏み入れてる奴の動きに躊躇いが無かったら、それだけで違って来るだろうな。強ければ強い程、その差は大きいだろうな」


「そうよ。私も前のパーティーで地上で倒したからといって油断していら、手痛い目に遭ったからね。あの時はかなりまずい状況だったわ」


アレナが過去を懐かしむように上を見ながらため息を吐いた。

ゼルートは、奴隷になる前にアレナが在籍していたパーティーのついて少し気になっていたが、おそらく踏み込んではならないゾーンなのだと思い、聞こうとはしなかった。


「それで次は相手がジェネラルだった場合ね。ボス部屋にいる魔物が、自分の下位種の魔物を統率できる系統ならば、何体かオーガがいるはずよ。まぁ、今回は私達がそのオーガを相手にすればいいのだから、そこまで問題ではないわ。問題は後の二つよ」


二つの問題に不謹慎ではあるかもしれないが、ゼルートは興味津々だった。

ゼルートがチラッとルウナの方を見ると、ルウナもゼルートと同じ気持ちなのか、口端が少し吊り上がっていた。


そんな二人の様子を見たアレナが、頼もしさ半分、呆れ半分な目で二人を見ていた。


「一つ目は、狂化のスキルを持っている可能性がある事よ」


「狂化っていうと・・・・・・理性を失う代わりに身体能力を極端に上げるスキルか」


「そうよ。理性を失うから攻撃は単調になる。でも、だからといって簡単に倒せるのかといえばそうでもないのよね」


アレナの言葉に疑問を感じたルウナが、首を傾げながら質問をした。


「そうなのか? 攻撃が単調になる分、攻撃が予測しやすくなって戦いやすい気がするが」


「・・・・・・まぁ、そういう考えが出るのも分かるわ。ルウナなら速さはかなりの物だから、対処は出来るでしょうね。攻撃の仕方も打撃だけではないし、十分に戦えると思うわ。でもね、動きが単調になるだけで基本的な動きは出来るのよ。それに狂化のおかげで身体能力が上がると言ったでしょ。それとセフィーレの様の武器の事を考えるとね・・・・・・」


(身体能力が極端に上がる。セフィーレさんの武器、レイピア・・・・・・強さ、速さ、堅さ。基本的な動き・・・・・・そうか!!!!)


ゼルートはアレナの言葉を頭の中で繰り返すことで、アレナが何を言いたいのか理解できた。

理解できただけに、表情は晴れやかなものではなく、苦々しい表情だった。

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