第208話少年期[198]慣れないものは慣れない

「・・・・・・最後の一撃は、少し爪が甘かったけど結構良かったぞ」


ゼルートは死んだリザードマンにそう呟くと、セフィーレ達の方に戻ろうとした。

すると、勝気な男がゼルートの方に向かってきた。


「おい、お前!!! 手を出すなって、言っただろうが!!! 聞こえてなかったのかガキ!!」


いきなりの大声にゼルートは耳を塞いだ。


勝気な男がゼルートに文句を言ったのを見ていた後ろの仲間が、慌ててゼルートの方に来て謝罪をした。


「す、すみません!!!! 折角助けてもらったのにこのバカがアホなこと言って。何やってんのよあんたは!!!!」


謝って来た女性はゼルートに文句が言ってきた男を、先程と同じように短剣の柄の部分で殴った。


「痛ってーーーーーな!! 柄で殴んなって言ってるだろ!!! 何度言ったらわかんだよ!!!」


「あんたが何度言ってもそのアホな性格を直さないからでしょうが!!!」


そこから喧嘩が・・・・・・夫婦喧嘩? が始まった。

ゼルートはどうしたら良いのかが分からなくなり、混乱していた。


(・・・・・・このまま戻るのは、なんかよくない気がする。でも、目の前で言い合いが始まったし・・・・・・どうしたら良いんだ俺? 戦闘自体はあまり時間をかけずに終わらせたけど、だからってそれ以外で時間を掛けても良い訳じゃないからな。というか、苦労してそうだなこの女の人)


すると、奥から必死でゼルートに助けを求めた男の冒険者ともう一人の女の冒険者がゼルートの方に向かってきた。


「助けてもらって本当に感謝している。君がいなければ俺達は全員あのリザードマンに殺されていた。本当に有難う!!!」


男の冒険者は勢いよく頭を下げながら、感謝の言葉を述べた。

それに続いて、女の冒険者も頭を下げながらゼルートに感謝の言葉を述べた。


「ほ、本当に助かりました!! わ、私とマレーナは全然戦いについていけなくて、あそこの騒いでるザンガとロブもリザードマンに劣勢で・・・・・・と、とにかく、助けてくれて有難うございます!!!!」


自分より歳が上の二人に頭を下げられ、感謝の言葉を述べられたゼルートは言葉が直ぐに出ず、顔を逸らしてしまった。


(はぁ~~~~。やっぱり誰かに感謝されるってのはなれないな。命が助かったんだから、ここまで大袈裟になるのも分からなくはないけど・・・・・・というか、顔が見えないけどニヤニヤしているアレナが容易に想像できる)


実際にアレナは今のゼルートの心情が分かっており、ニヤニヤしていた。ルウナは何故アレナがニヤニヤしているのかが分からず首を傾げていた。


「あの・・・・・・俺は、俺達はたまたま通りかかって、危なそうにみえて助けに入っただけなんで、あまり気にしないでください」


ゼルートとしては本心だったのだが、二人はそれでは納得で出来なかった。


「いや、せめて何か礼をさせてくれ!!! 命を助けてもらった恩人に何もせずというのは・・・・・・」


「そ、そうですよ。君が助けてくれなかったら私達は今、こうして生きていなかったんだから・・・・・・な、何でもは少し難しいですけど」


女の冒険者は先程自分が言った言葉を、顔を赤くしながら否定した。

それを見てゼルートは女冒険者が何を考え、妄想したのかを理解した。


(いや、確かに見た目良いし、スタイルもそこそこ良いから本来なら嬉しい申し出なんだったんだろうけど、俺そんな鬼畜じゃないしな。まさか俺そんな感じの奴に見えてるとか? 外見はまだまだ子供の筈なんだけどな)


「だから俺はあんなクソガキの助けなんてなくても勝てたって、言ってるだろ!!!!」


未だに喧嘩を続けている二人の内の、男の方の大きな声に心の中で呟いた。


(とりあえずうるさいから、一回お前は黙れよ)

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