第201話少年期[191]単純に旨いってのが良いよな

活用できる魔物や魔石を回収してから、ゼルート達は先に進んだ。

それから野営する場所が見つかるまでに、もう一度魔物の群れと遭遇したが、誰かが大きな負傷を負う事はなく撃退する事が出来た。


ちなみに戦った魔物はモンキー系の魔物だった。


「・・・・・・ここなら広く空いていて野営に適していますね。太陽も沈んできたんで今日はここまでの方が良いと俺は思いますけどどうですか?」


「そうだな。確かに辺りも暗くなってきて、食欲も出てきた頃だ。時間的にもちょうど良いだろう」


「それじゃ、野営の準備を始めましょう」


セフィーレの許可を取ったゼルートは、早速アイテムバックからテントを取り出して準備を始めた。

ソブル達もアイテムバックからテントを取り出し、せっせと準備を始めた。


そして結界石を置いて、野営の準備は終了した。


準備が終わった後、ゼルートは木を集めて燃やし、アイテムボックスから長方形のフライパンと鶏の卵と塩の入ったケースを取り出し、料理を始めた。


「・・・・・・ゼルートさん、何をしているんですか?」


「何って、見ての通り料理をしているんですよ。まっ、料理と呼べるものでもないと思う気がしますけど」


ゼルートの言葉を聞いたソブルは、声には出さなかったが思わず心の中で主婦か! と突っ込んでしまった。


着々と卵焼きを作って皿の上に置いていくゼルートに、アレナはどこか女として負けた気分になりながら何を作っているのか聞いた。


「ゼルート、えっと・・・・・・いったいどんな料理を作っているのかしら」


「どんな料理って言われても・・・・・・卵を焼いているだけだから卵焼き、って言う名前の料理名しか言えないな。味は美味しいと思うから安心してくれよ」


「え、ええ。分かったわ」


良い臭いを漂わせて来るゼルートを見て、アレナ以外にも二名の女子がダメージを受けた。


夕食は、野菜サラダとファットボアのステーキにリンゴのような果物、アルプをカットしたデザートに、今回はゼルートが作った卵焼きが追加されている。


「ほお~~~~~、これは・・・・・・初めて見る料理だな。しかし見事にきれいな形になっているな。その長方形のフライパンを使ったからか」


「はい、名前はまんまの卵焼きって言います。セフィーレさんが言う通り、このフライパンを使ったからこういった形になりました。というかこのフライパンも料理も自分が考えたんでセフィーレさんは知らなくても無理ないと思いますよ」


ゼルートの、新しい料理を自分で考えた(正確には前世の知識から再現した)という言葉に、三人の女性はゼルートの女子力の高さを感じ、さらにダメージを食らった。


「おお~~~~、良い臭いだな。それじゃ、一口目は俺が貰おう」


ソブルはフォークで一口サイズに切り揃えられ、皿に盛り付けられている卵焼きを刺し、口に運んだ。


「モグモグモグモグ・・・・・・ング。う、旨えええええ。なんだこれ、卵ってこんな旨かったのか!!?? うん、マジで旨い」


「塩も加えているんで、食べやすくもなっていると思いますよ」


ソブルはセフィーレの従者とはいえ、貴族なので普段家にいるときは、平民が食べる料理より遥かに旨い料理を食べている。

そんな料理と比べ、感覚としては貴族が食べるような上品な味は感じなかったが、ゼルートの言うように食べやすく、ストレートに旨いという言葉が出てくるような味をソブルは感じた。


更にもう一個と、旨そうに食べるソブルを見て、ゼルート以外の者がごくっと、喉をならしながら今にも涎が出そうな顔で卵焼きを見ていた。

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