第192話少年期[182]指弾・・・・・・みたいなものかな?

「グルルル」


「ん? ああ、ありがとなラル」


ラルに声を掛けられたゼルートは、直ぐに気配感知の範囲を広げた。


「セフィーレさん。もうちょい前に進んだ先に魔物がおそらく俺達を待ち伏せしています」


「それは本当か? 数はどれくらいいるんだ」


ゼルートは気配感知の制度を上げ、魔物の数を探った。


「・・・・・・数はおそらく二十弱だと思います。・・・・・・大型の魔物の気配はありません」


「そうか・・・・・・情報感謝するぞゼルート。全員聞いたな、いつでも迎撃出来る様、戦闘態勢に入れ!」


セフィーレさんがレイピアを抜くと、全員槍を、大剣を、短剣を、杖を構えた。


アレナとルウナも万が一に備え、武器を抜いていた。


「それにしても、ゼルートは気配感知一つにしても頭二つ、三つ抜けてるわね。私の気配感知にはまだ引っかからないわ。一体どういった鍛え方をしたの?」


「ふむ・・・・・・私の鼻にはようやく引っかかったみたいだ。もっともゼルートの気配感知やラルの鼻の方が優れているみたいだがな」


アレナの質問に、ゼルートは表情を変えずに答えた。


「さっき言っただろ。時間はたくさんあったって。気配感知もその時間で鍛え上げたんだよ」


「なるほど・・・・・・でも、それが辛いと思ったことはないの?」


アレナは、いつも頭の片隅にあった疑問を聞いた。

何故、そこまで自分を追い込み、強くなる事が出来るのか。

冒険の為に、仲間や家族の為にと言う事は分かっている。だが、そこまでたどり着くのに感じる筈の苦痛はどう思うのかをアレナは聞きたかった。


「辛いと思った、か・・・・・・そんな風には特に感じたことはなかったかな。俺は、自分に出来ることが増えるのが、強くなっていると実感できるのがたまらなく嬉しかった。それに前にも言っただろ、冒険するために必要な力を、家族を、大切な仲間を守りたいと思った時にそれが出来る様に、着実に力を溜められている。そう実感出来ていた。だから・・・・・・強くなることに辛いと思った事はないよ」


ゼルートの真っ直ぐな思い、考え、感情に、アレナとルウナは自分を買ってくれた、主にもう一度感謝した。

そして、改めてゼルートの役に立てるようになろうと決意した。


ゼルートの気配感知に反応が引っかかってから三分後、

魔物の群れに後五メートルまで近づいた。


相手がまだ自分達の接近に気づいていないと感じたセフィーレ達は、魔法による先制攻撃を仕掛けようとした。

だが、茂みの奥に隠れていたフォレストウルフの嗅覚感知に反応したのか、セフィーレ達が先制攻撃をする前に二体のフォレストウルフが襲い掛かって来た。


魔法を発動しようとしていたカネルとローガスは、雑念が入り、魔法の発動を中断してしまった。

襲い掛かってくるフォレストウルフをセフィーレとソブルが迎撃しようとするが、カネルとローガスを守るには少し遅い。


瞬時にそれを判断したゼルートは、手に持っていた自作の鉄硬貨を親指で弾き、フォレストウルフの腹に命中させた。


「「ギャフウウ!!??」」


ゼルートによって弾かれた効果を腹に喰らったフォレストウルフは、空中では避けることが出来ずに、もろに喰らってしまった。


それにより勢いが失速し、セフィーレとソブルの攻撃も、もろに喰らう事になった。


「助かったぞゼルート。皆、もう一度気を引き締めなおすぞ!!!」


「「「「はい!!!!」」」」


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