第185話少年期[175]ゼルートの良心?

(さてさて、見た感じ冒険者になってまだ一年から二年の間ってところかな? そんで無茶して潜って深手を負った、多分そんなところだろうな。こっちとしては助ける価値がないからほっといてもいんだけど・・・・・・やっぱ心情的にそれは無理だな)


考えが決まると、ゼルートはマジックバックから自分で作ったポーションを取り出した。


「ほら、Cの上のポーションだ。深手を負ってる女の人に使うのは勿論だが、そこのでかいお兄さんも飲んでおけ」


「あ、ありがとうございます!!!」


ラングは、ゼルートからポーションを受け取ると、直ぐに仲間の元に戻ってポーションを飲ませた。

それを飲んだメイナ、でかいお兄さん・・・・・・オランの傷は目に見える早さで治っていった。

仲間の傷が治ったのが分かったラングと、弓を背に背負っている女性・・・・・・リーナは泣きながら喜んでいた。


そしてその場にいるのが自分達だけではないと気づいた二人は、顔を赤くしながらゼルートの前に走って来て、思いっきり頭を下げた。


「な、仲間の為にポーションを分けてくださって本当にありがとうございます!!! お、おかげで僕たちは仲間を失わずに済みました!!!」


「ぽ、ポーションの代金は直ぐにとは無理ですが、地上に戻ったら絶対に払います。なので少しだけ日数を貰えないでしょうか!!!」


頭を深々と下げる二人を見てゼルートは戸惑っていた。


(・・・・・・ここまで感謝されるのはちょっと予想外だな。それにポーションの代金なんて正直いらないんだよな。自分で作った物だからまだまだアイテムバックの中に山程あるし。それより、あの深手を負ってた女の子の顔いろからして、かなり血を失ってるみたいだな・・・・・・まぁ、金に困ってる訳じゃないし、少しぐらいいいか)


ゼルートはアイテムバックから金貨二枚を取りだした。


「お前たちに渡したポーションは俺の自作だから代金はいらない。だからそんなに金の心配をする必要はない。それと、これで地上に戻ったらしっかりと飯を食え、特に肉な」


そう言うと、ゼルートはラングに金貨を二枚渡した。

流れ的に金貨を貰った二人は最初は自分達が貰ったポーションを作ったのが、目の前の少年ということに驚き固まっていた。

だが、金貨を自分達が貰ったことに気が付くと、慌てて金貨をゼルートに返そうとした。


「さ、さすがにこれは貰えません!! ポーション代をただにしてもらって、そのうえ金貨までなんてっ・・・・・・」


「そ、そうです。初めてあったあなたにそこまでしていただくのは流石に・・・・・・」


当たり前のように遠慮する二人に、ゼルートは真剣な表情で伝えた。


「そこの女の人はかなりの血を流しているはずだ。俺のポーションは怪我を治すことが出来たとしても、失った血までは元に戻らないんだ。血を手っ取り早く作るのにはたくさんの飯を食べるのが一番だ」


二人は後ろにオランに背負われているメイナを見て、ゼルートから金貨を貰い地上に戻って飯をたくさん食べるのが正しいのかと思ったが、それでも食い下がろうとした。

だが、それをゼルートが先に言葉を発したことによって遮られてしまった。


「それに見た目はガキだが、こう見えても俺は結構強いんだ。それに後ろにいるあの人族のお姉さんと、あの獣人族のお姉さんは俺のパーティーメンバーだ。そんで二人も勿論強い。だから金貨に二枚ぐらい直ぐに稼げる。というかちょっと前に色々あって今は金に余裕がありまくりだから。金貨に二枚ぐらい気にすることはない。ほら、パーティーリーダーの俺が言ってんだから、遠慮する必要はないんだ。分かったか」


後ろで聞いていたアレナ、セフィーレ達は結構どころじゃないだろっ!!! と心の中でツッコんでいた。


ゼルートのかと場を聞き終えた二人は、盛大に涙を流しながら、もう一度勢いよく頭を下げた。


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