第181話少年期[171]ゼルートの兄

「それに、あの調理台だってかなりの値段がするはずよ。あれはどこで手に入れたの?」


ゼルートは、過去を思い出しながら、調理台をどうやって手に入れたのかを思い出そうとした。


「え~~~~~っと。確かグレーウルフに襲われている、商人のおっちゃん・・・・・・おじいちゃんだったかな? が、お礼にくれたんだよ。いや~~~、なかなか太っ腹なおじいちゃんだったな」


はっはっはっは、と笑いながら、ゼルートはアレナとルウナにジュースを渡した。


「まったく。笑い話じゃすまないわよ。んっ、相変わらずこのジュース美味しいわね」


「アレナの言う通りだが、ゼルートには冒険者になるまでかなりの時間があったはずだから、無理な話ではないのだろうな」


「確かにそうだな、自由に外に出られるようになってからは、昼ご飯を貰って、朝の九時から、晩御飯を食べる時間の夜五時までずっと、自分のやりたいことをやってたからな。田舎貴族の次男なんてそんなものだよ」


ゼルートの言葉にルウナが、疑問に思ったことを聞いた。


「そうなのか? 次男と言えば、長男に何かあった時の為に必要な存在だと思うんだが」


ルウナの考えは流石元王族と言えるものだった。

だがゼルートは、その事に関しては全く心配していなかった。


「その心配は全くいらないよ。俺の兄さんは超、超、超優秀だからね。一を聞いて十を知るを体現している人だからな。魔法は勿論、長剣、短剣、確か槍も一応使えたかな? それに頭も良いからね。暗殺されるようなこともないはず」


ゼルートは、今は貴族の学校に通っている兄を思い出しながら語った。


「なるほど・・・・・・弟が規格外なら、兄同じってわけね」


「まぁ、ゼルートと同じくくりにするのはどうかと思うが、ゼルートがそこまで絶賛するということはかなり優秀なのは間違いないんだろうな」


「良くわかってるじゃんルウナ。兄さんは俺と違っていつも冷静だから、領地に何があったとしても的確に対処するはずさ。あっ。でも、やっぱり兄弟だからか似てるところはあったね」


「へ~~~~、聞いてる話だとそんなに似ているところはない様な気がするけど、どこがの似てるの?」


ゼルートは、似ているところが嬉しい事なのか、ニヤニヤしながら答えた。


「凄い家族思いなところだよ。貴族の子供のお披露目会で、爵位が上の子供と決闘事になったのは兄さんが最初だからな」


ゼルートのセリフを聞いた二人は、予想外のない様に驚き、ジュースを吹き出してしまった。


「ゲホっ、ゲホっ。ちょ、ゼルート。今の話本当なの!?」


アレナはテーブルに置いてある布巾でテーブルを拭きながら、ゼルートに本当なのかと聞いた。

その質問に対してゼルートは当たり前だろ、といった表情で答えた。


「本当だ。さっき言っただろ。俺と家族思いのところが似てるってな」


「「・・・・・・なるほど」」


アレナとルウナは、言葉のタイミングと、考えている内容も一致していた。


(ゼルートの話から考えて、恐らくクールな紳士的なタイプ。まだ五歳だとしても多分、女の子達にはかなりモテるはず)


(それに嫉妬したバカな男共がゼルートの兄をバカにする発言をする。そして、その中に家族を侮辱するようなした)


(それに切れたゼルートのお兄さんが上手い事乗せて、決闘に持ち込んで相手の貴族の子息を、心が折れるまでボコボコ・・・・・・あぁ、容易に想像出来るわね)


「まぁ、姉さんも同じ様な事したんだけどな」


「「ブっ!!??」」


ゼルートの発言に、不意を突かれた二人は、また吹き出してしまった。

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