第179話少年期[169]忘れていた魔道具

ゼルートは八階層の安全地帯に着いてから一旦アレナ達と分かれて、安全地帯に出ている店を見て回った。


「・・・・・・割り増しどころじゃなくないか? 軽く二、三倍はしていると思うんだが・・・・・・でもまぁ、ダンジョンで暖かい飯が食えるってのはそれだけの価値があるってことなんだろうな。それにアレナが言ってた通り、商人もここまで来るのに無料で来れるってわけじゃないもんな。必要経費の事を考えるとこれくらいの値段が妥当なんだろうな」


そう呟きながらも、ゼルートは屋台の料理やポーションの類は、アイテムバック、リングに大量に入っているので買うことはなかった。


そしてゼルートは安全地帯の全体を見渡せる位置まで来て、自分達以外の冒険者が寝泊りしている位置を確認した。


「・・・・・・まだ、上層だからか結構冒険者の数がいるな。ん~~~~~、無いと思うが、寝ている間に襲って来るって事は、起きない思うんだが・・・・・・その可能性を捨てきる事は出来ないな。アレナ達を性欲に満ちた目で見てた男の冒険者は結構いたからな。まぁ、連れの女の冒険者に叩かれているところは面白かったけどな。とりあえず、せっかく安全地帯にいるんだからテントの中とはいえ、ゆっくり休んで欲しいしな。だからと言ってラルに全部任せるってのもな~~~~」


魔物の場合、毎日睡眠をとらずとも起きていられることが出来る。ラルの場合だと一週間は寝なくとも行動できるが、ゼルートとしてはこれから下層に向かうにつれて、ラルに頼る場面が多くなると思っているので、休める時には休んで欲しかった。


「ここで錬金獣を出すのはちょっとな~~~~、なんか良い魔道具あったかな・・・・・・」


ゼルートはアイテムバックやリングに入っている道具で、良さげな物はないかと調べ始めた。


「あっ、そうだそうだ。これがあったな。なんでこれの存在を忘れてたんだろうな」


ゼルートが取り出したのは、まだゼルートが冒険者になる前に倒した、盗賊の戦利品の中にあった結界石だった。

効果は四つの結界石を置くと、ドーム状に結界が発動し、外部からの攻撃、侵入を防ぐ回数制限付きの魔道具だ。回数制限付きだが、一応は魔力を結界石に注入することで、回数をもとに戻すことが出来るが、かなりの魔力量が必要なので、基本的には使い捨ての魔道具として扱われている。


その結界石は、錬金術のスキルを持つゼルートによって、結界の防御力はBランクの魔物の攻撃にも耐えられるようになっている。


「おし、悩みも消えたことだしアレナ達の所に戻るとするか」


ゼルートは悩みが消えたことで、良い笑顔をしながらアレナ達の所に戻った。



「いやーーー、やっぱり野営の時やダンジョンの中で、こういった料理が食べられるのは本当に贅沢だよな」


ソブルはゼルートのアイテムバックから取り出した、野菜と肉たっぷりのスープと熱々のパンを食べながら満面の笑みを浮かべていた。


そんなソブルの考えにカネルも同意していた。


「ああ、ソブルの言うと通りだな。こういった時は、干し肉や固いパンなどを冒険者が食べると聞いていたが、ゼルート殿の場合は普段の食事と変わらないな」


セフィーレやリシアも二人と同じ考えであり、頷いていた。

ムスッとした顔をしているローガスも、ソブルとリシアと考えは変わらないので、特に何もしゃべらなかった。

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