第177話少年期[167]少しは働かないと・・・・・・

「すんすん。奥から魔物の匂いがする。数は・・・・・・二十体程だ」


「グルル」


ルウナの言葉にラルが同意するように声を上げた。


ゼルートはどういった体型の魔物がいるのか、気配感知というスキルの応用、立体感知というスキルで確認した。


「どれどれ・・・・・・なんだ、ゴブリンか。いや、少し上位種も混ざっているか」


ゼルートは立体感知から通常のゴブリンより二回りほど大きいゴブリンを確認した。

ソブルはゼルートの言葉を聞いてナイフを取り出し、構えようとした。

だがそれをゼルートが止めた。


「大丈夫ですよソブルさん。ここは俺に任せてください。ラル、悪いけどここは俺にやらせてもらうよ」


ソブルはゼルートの実力をしっかりと分かっているので頼んだぞ、と声をかけてから後ろに下がった。

ラルも正直目の前の敵は、戦う価値がないと思っていたので、抗議することなく後ろに下がった。


そしてゼルートは手のひらから魔力の球体を生み出し、余裕の表情で人差し指をクイ、クイっとして挑発した。


「ほら、とっととかかって来いよ。あまり時間はかけたくないからな」


「「「「ゴブゥゥゥアアアアア」」」」


あまり考える頭を持っていないゴブリン達は、ゼルートの軽い挑発に乗り、先ずは七体程がゼルートに襲い掛かって来た。


「ゴブリンの割には良い装備だな。長剣に、短剣、バトルアックス、槍。おそらく殺した冒険者か、死体の冒険者から奪った物だろうな。まぁ・・・・・・俺には関係ないんだけどな」


向かって来る敵に対してゼルートは、魔力の球体を指で操作し、ゴブリンの頭を貫いた。

そしてその球体はそこで消えることなく、再びゼルートが指を動かすと今度はゴブリンの心臓を貫いた。


そんなゼルートの戦いを見ていた、ラルを除いた面々はゼルートの戦い方に目を丸くしていた。

ゼルートの戦い方は、自分達の常識をあっさりと打ち砕いた物だった。


「えっと・・・・・・カネル、なんでゼルート君が放った魔力の球体が消えることなく、そのまま動き続けているのか分かるか?」


「・・・・・・いや、魔法に関してそこまで詳しい訳ではないからさっぱりだ。セフィーレ様は分かりますか?」


カネルに尋ねられたセフィーレは少しの間、唸りながら考え込んだ。


「そうだな・・・・・・おそらくだが、単純に魔力操作のスキルレベルがとてつもなく高いんじゃないかと私は思う」


セフィーレの言葉の通り、ゼルートの魔力操作のスキルレベルはかなり高い。

理由は、ゼルートが小さい時から行っていた練習方法にある。


前世の時に、ファンタジー系の漫画やライトノベルを読んでいたゼルートは、自分だったらこういった練習を行う、といったことを考えていたので、体がある程度動かせるようになってから、直ぐに練習を始めた。

勿論、直ぐに上手くいった訳ではないが、ゼルートが冒険者になるまでずっと続けていた為、今はもう特に集中することなく簡単に使いこなせている。


最初に襲い掛かって来た七体があっさり殺られた事で、ゴブリンの上位種が命令を出し、戦法を変えて来た。

その作戦に、ゼルートは少し感嘆していた。


「へぇ~~~~、武器を投げつけてくるか。ゴブリンでも上位種だと結構頭が良いんだな」


武器を持っていたゴブリンとゴブリンの上位種は一斉に、ゼルートに投げつけて来た。


「俺に無意味なことは変わりないんだけどな」


感嘆はしたが特に慌てる様子もなく、ゼルートは魔力の球体を動かし武器を全て壊した。

あまりにも簡単に自分達の武器が壊されるのを見て、ゴブリン達は、これから後十秒もしたら死ぬかもしれないというのに、目をポカーンとして固まっていた。

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