第176話少年期[166]出だしは順調

ゼルート達がダンジョンに入ると、中は洞窟になっていた。


「・・・・・・ふふ、いいな。この感覚」


ゼルートはいつ魔物や罠が、もしくは冒険者が襲ってくるかもしれない感覚に、怯えるどころか喜んでいた。


「よし、とりあえず事前に話した順番になって進もう」


ソブルがそう言うと、ゼルート達はソブルとラルにルウナ、セフィーレとゼルート、リシア、ローガス、カネルとアレナの順番に並んで進み始めた。


進み始めてから数分後、さっそく魔物がゼルート達の前に現れた。


「っと、魔物たちのお出ましか。とは言ってもスライム達か。ラルさん頼みますよ」


出てきた魔物がスライムだったので、ソブルは事前にセフィーレから言われていた通りに、ラルにスライム達の相手を任せた。


「グルウウウ」


ラルはソブルの言葉に頷き、力量差は圧倒的なのに向かって来るスライム達を、前足でどんどん潰していった。

それを後ろで見ていたゼルートは、ラルがスライム達を潰す姿が、前世にあった物を包むプチプチを潰す姿に見え、少し笑っていた。


「こう、倒すっていうよりは、作業って感じだな。さて、スライムとはいえ魔石はあった方がいいから、回収しておこう」


ソブルは潰れたスライムの死骸から魔石を回収して、マジックポーチの中にしまった。


「さて、敵の気配もなさそうだし、このまま進もう」


ゼルート達のダンジョン攻略は問題なく進んだ。



ゼルート達が進み始めてから六時間が経ち、ゼルート達は現在は六階層にいた。


「ゼルート。一つ質問があるんだがいいか」


「はい、なんですかセフィーレさん?」


ここまで順調に進んできた中で、セフィーレが疑問に思ったことをゼルートに訪ねた。


「何でダンジョンの魔物達は、私達に何も怯えずに襲って来るのか分かるか?」


セフィーレの質問を聞いたゼルートは、自分でも何でだろう? と疑問に思った。

二十秒程、ダンジョンそのものについて考えてからセフィーレの質問に答えた。


「そうですね。まず、ダンジョンにはダンジョンコアというダンジョンが正常であるために必要な物があります。そしてダンジョンにいる魔物はダンジョンから生み出されています。簡単に言えばその魔物達はダンジョンコアを守るために生み出されたんだと思います。生み出されると同時に、ダンジョンに入って来た敵を排除しろ、とでも頭に刷り込まれているんじゃないでしょうか」


「なるほど、確かにそれなら属性持ちのドラゴンのラルに、少しもひるむことなく襲い掛かる事に納得がいくな」


「まぁ、俺が考えた意見なので、あまり参考にしないでくださいよ」


ゼルートは本当に自分の考えが正しいか分からないので、あまり自分の考えを鵜呑みにして欲しくはなかった。


「そんなに謙遜することはないぞ。中々しっかりとした内容だ。ゼルートは学者としてもやっていけるんじゃないか?」


「そんなことありませんよ。というか、なれるとしても、あまり頭を使うことは苦手なんで学者は遠慮したいですね」


「はは、確かにそうだな。私としても退屈そうだから才能があったとしても、学者はごめんだな」


そんな楽しそうな会話をしている二人を、ローガスは歯ぎしりしながら睨み付けていた。勿論ゼルートを。

そんなローガスの様子が、後ろからでも容易に想像できたカネルはため息を吐いていた。


「アレナ殿もゼルート殿と同じ意見ですか」


「そうね・・・・・・私もゼルートと同じ考えね。まぁ、そもそも何故ダンジョンなんて物が出来るのか分からないから、その考えも正しいのかいまいち分からないけどね」


「なるほど、確かにその通りですね。ダンジョンが何故できるのか、ですか」


こうして上層辺りの段階では、特に張り詰めた空気はなく、順風満帆に攻略を進めた。

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