第172話少年期[162]ダンジョンは入る前から戦いがある?

ゼルート達が一旦解散してから一時間後、宿に全員が戻って来た。

全員準備が整っているということで、ダンジョンに向かって寄り道せずに歩き出した。



ダンジョンに近づくにつれ、出店が多くなってきた。

ダンジョンの入り口付近には、自分のパーティーに不足している人材を募集している者や、自分を売り込んでいる者もいた。

ゼルートにとっては初めての光景なので、思わず感嘆してしまった。


「おぉぉ、普通の街中より賑わっているな。迷宮の入口付近はどこもこんな感じなのか?」


今目の前にある光景がどこでも同じなのか気になったゼルートは、冒険者として先輩のアレナに聞いた。


「そうね。街がダンジョンを管理しているところは、どこも似たようなものね。街の管轄外にあるダンジョンでも、ある程度冒険者が集まるところならさほど変わらないわ」


アレナは懐かしむように、辺りを見回しながら少し表情が微笑んでいた。

となりにいたルウナはゼルート同様、感嘆していて驚いた表情をしていた。


「これは・・・・・・なんというか、もの凄く必死さが伝わってくるな」


ルウナは自分を売り込む冒険者、一緒に潜っている人を募集している冒険者、商品を買って貰おうと、必死にアピールする商人。その必死さに、ルウナはダンジョンの存在の大きさを感じた。


セフィーレ達もゼルートとルウナ同様、ダンジョン付近にいる冒険者や、商人の熱気に驚いていた。

こういったことに無関心なローガスでさえ、目の前の光景の凄さに圧倒されたのか、後ずさっていた。


そんな感じのゼルート達に、自分の店の商品を売り込もうとした商人や、自分をパーティーに入れてもらおうと思った冒険者はかなりいた。

いたが、まずは商人が自分の店の商品を売り込むことを止めた。

このダンジョン入り口付近で店を出している商人達は、この街ではある程度名の売れた商人達だ。

なので商人として当たり前の情報収集を怠り等はしていない。なので公爵家のご子息、ご息女がこのダンジョンに挑んでくるという情報はすでに得ていたので、万が一公爵家の機嫌を損ねるようなことをすればどうなってしまうかという最悪の未来を考え、売り込むのを止めた。


次に冒険者達、特に男の冒険者達は自分をゼルート達に売り込もうとした。

理由や超単純で美少女、美女と呼べる女性が五人もいるからだ。

是非、お近づきになって、あわよくば上手い事関係を作って・・・・・・などと欲望丸出しでゼルート達に声を掛けようとしたが、冒険者達が近づいてくると、ラルが低い声で唸った。


「グルルルルル・・・・・・」


そこで初めて、パーティーの誰かが目の前のドラゴンを従魔にしているのだと気づき、元のいた位置に戻っていった。

そんな男たちを見て、ゼルートは苦笑いしていた。


「まぁ~~~~、バカといえばバカなんだけど、しょうがない男の性ってやつなんだろうな」


「はっはっはっは、ゼルート君の言う通り、違いないな!!」


「ふんっ、あのような者どもがセフィ―レ様に近づくなど罪に値する」


ローガスの貴族の考え丸出しの言葉に、心の中でそれはないだろ! とゼルートとソブルはツッコんだ。

こういった光景に慣れていたのか、アレナはゼルート同様苦笑いしていた。


カネルはこちらに来ようとしていた冒険者達に対して呆れの目を向けていた。

リシアは冒険者達がこちらに向かって来るのを諦めたと分かると、ホッとした表情を浮かべていた。


そして一番注目されていたセフィーレは何が起こったのか全く分かっていなかった。

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