第167話少年期[157]人間性って大事だよな

「い、今の鍛錬はどういった考えで行っているのですか?」


真剣な表情で迫りながら質問してきたリシアに、ゼルートは何時もと違うリシアに少し驚きながらも、隠すことではないので教えた。


「まずは、もし武器などが飛ばされるか壊れたときに、最後に使える武器は自分の体のなので、拳や足、膝や肘を使った対人の鍛錬を相手がいるとイメージしながら行っています」


ゼルートの答えにリシアは、戦うことが専門ではないのでそういったことを考えてこなかったが、とても単純で納得のいく考えだと思った。


「そして魔物や人と戦う時間が、全て直ぐに終わるとは限りません。なので長時間の間戦い続けれる様、こうして毎日体が鈍らないようにしています」


次の答えにもリシアはもの凄く納得させられてしまった。自分は後衛なのでゼルートが考えている様なことは全く今まで思いつかなかったが、言われてみればと今までの自分の記憶を振り返ると、リシアは前衛の人たちが戦い始めてから五分ほどで息が上がり始めている人などを思い出した。


「ダンジョンでは唐突に魔物の大量発生等の事例は多くあるので、持久力はあるに越したことはないと俺は思います」


ゼルートの説明が終わると、リシアはつい拍手をしそうになってしまった。

だが、リシアの中ではそれだけ感心出来ることでもあった。それと同時に、ローガスには二度とゼルートに反抗的な態度を取ってほしくないと思った。


(もし、今後ローガスがゼルートさんに手をだあすような事をすれば・・・・・・良くて再起不能になるまでボコボコにされる。最悪殺される事だってある。もし最悪の事態が起こればローガスの家も流石に、ローガスの方に非があるとはいえ黙っていない。そうなればゼルートさん達に何かしらの被害を及ぶ、最悪暗殺しようとするかもしれない。でも、そうなったらゼルートさんも黙っていないはず。ゼルートさんの性格からしておそらくゼルートさんより、ゼルートさんの関係者に被害を加えてしまった場合の方が怒りを買ってしまう気がします。ゼルートさんの話ではバックに属性持ちの上位のドラゴンがついているはずです。もしローガスの家とゼルートさん達がぶつかり合えば・・・・・・おそらくゼルートさんが勝ちますね)


その後の事もリシアは考えたがゾッとする未来しか思い浮かばなかった。


事実、ゼルートだけでもローガスの家程度ならば、真っ向から戦っても圧勝とまではいかなくても余裕で勝てる。

簡単に言えば、数の差では埋められないほどの実力差がある。


とりあえずリシアは、そんなもしもの暗い未来の考えを捨てて、ゼルートに頼みごとをした。


「ぜ、ゼルートさん。聞きたいことがあるのですがよろしいでしょうか」


「? はい。なんでしょうか」


リシアが少しもじもじしながら自分に質問する様子を見て、ゼルートは首を傾げながら答えを待った。


「わ、私に魔法がなくても戦えるようになる鍛錬を教えてもらえないでしょうか」


リシアの言葉にゼルートは直ぐに何故、リシアがこんな質問をしたのかが分かった。


(たぶん、自分が従者である事と、俺がダンジョン内での魔物の大量発生を話したからだろうな)


従者であるために、どんな時でも自分の主の為に戦えるようになりたい。そして乱戦になった時に魔力がなくなったからといって足手まといにはなりたくはない、そんな考えだろうとゼルートは思った。


(父さんから聞いた話だけど、ダンジョン内で魔物の大量発生に会ったらほぼ助からないって話していたな。大量発生て言うぐらいの数との魔物と戦うことになると、多分魔力が切れたからといって直ぐに魔力回復のポーションが使えるわけじゃないんだろうな。そうなると、今回は役に立つか分からないけど、リシアさんの今後の事を考えたら教えておいた方が良いんだろうな)


ゼルートがまだリシアに会ってから数日しか経っていないが、ゼルートはリシアの人間性は嫌いではなく、むしろ好きだったので、その場でとりあえず今考えられる鍛錬を教えた。


ゼルートが教え終わると、そろそろみんなが起きてくるであろう時間になったので二人は宿に戻った。

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