第163話少年期[153]狂ったプライド

ゼルートが照れながら歓声を浴びている中、ローガスだけがゼルートに暗い感情が溢れ出ている目で視線を向けていた。

理由は単純な嫉妬。自分を瞬殺した相手を逆に瞬殺した。

ローガスの本心は今ここで、何故余計なことをしたと、言いたかった。

ローガスと蛮族冒険者が不意打ち等なしで真剣に戦ったとしても、勝てる見込みはほとんどないのだが、ローガスには何故か不意打ちを喰らわなければ絶対に勝てるという、訳の分からない自信があった。


だが、そんなローガスも今ゼルートを糾弾すれば自分がどんな目で見られるかは分かっていた。

ゼルートは客観的に見れば何も悪いことはしていない。むしろ護衛として立派に働いていると言える。

そんなゼルートを私情で糾弾すればドーウルスを出発する前、ゼルートがローガスに行ったアゼレード公爵家の顔に泥を塗ること、というぐらいは悪い意味で貴族に染まりきっているローガスでも理解することが出来、何とか抑えることが出来た。

だがゼルートを見る目にからは黒い感情は一切消えておらず、ますます膨れ上がっていた。


(くそっ!! 薄汚い冒険者がっ、余計な真似をして私の邪魔をするな!!! あのような者、油断さえしていなければ・・・・・・!!!)


ローガスは必死に自分に言い訳をしているが、体は正直で蛮族冒険者の一撃を喰らった時に勝てないと、体は悟っていた。そしてゼルートの攻撃が全く見えなかったこともあって、ローガスの心は必至で言い訳していないと崩れ落ちそうになっていた。


ちなみにあの蛮族冒険者を倒したことでゼルート達は宿のオーナーから、食事代と宿泊代を無料で大丈夫ですと言われた。理由は日ごろから蛮族冒険者が他の客に迷惑をかけていたからだった。

それを聞いてゼルートは呆れて言葉が出なかった。


そして各自が部屋に戻るときに、ゼルートはセフィーレに依頼で確認しておきたいことがあったため、少し時間を空けてから部屋に向かうと告げた。



夕食が終わってから三十分程が経ってから、ゼルートはセフィ―レの部屋に向かった。

部屋割りとしてはゼルートとセフィ―レが一人部屋。それ以外は同性同士で二人部屋となっている。


ゼルートはセフィーレの部屋の前に立ち、少し緊張しながらセフィーレの部屋の扉をノックした。


「ゼルートです。入ってもよろしいでしょうか」


ゼルートの言葉に直ぐに返事が返って来た。


「ああ、構わないぞ。入ってきてくれ」


ゼルートはセフィ―レからの了承の言葉を聞いてからおそるおそる、ドアを開けて中に入った。

勿論中にセフィ―レはいたが、服装が日中の戦う服装ではなく普段着を着ており、その姿が少し前までとはまた違った美しさを醸し出していた。

胸など、日中は胸当ての装甲で押さえられていても巨乳と分かるほどのだが、押さえつける物がなくなったことにより更にでかく見えた。


ゼルートはセフィ―レが無意識に出している色気にやられて、顔を背けそうになったが自分から用があって来たため、そんな失礼な事は出来なかった。


とりあえずゼルートは気を紛らわすため早速本題に入った。


「えっと・・・・・・ダンジョンの中での護衛について質問があるんですけどよろしいでしょうか」


「うむ、構わないぞ。むしろダンジョンの探索中の連携にも関わることかもしれないからな。どんどん聞いてくれ」


そう言われたゼルートは先程までの恥ずかしさは消え、真剣な表情で質問をした。


「わかりました。それではダンジョンの中での護衛についてなんですが、セフィーレさん達と一緒に魔物と戦いながらダンジョンを進むのか、それとも最下層のボスの部屋まで自分達が襲って来る魔物を全て倒し、セフィ―レさん達を無傷で連れて行く、どちらがよろしいでしょうか?」


ゼルートの質問にセフィ―レは直ぐには答えなかった。

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